【d!】私とピアノと (ページ40)

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6度目の間奏ページ40

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『！！』

会場に響く拍手、多くの歓声、熱いくらいに照らされたスポットライト

『(終わった………)』

そう思うほどに、そう気楽に思えるほどにコンサートは終わっていた

『………………』

お客さんに向かってお辞儀をし、歓声や拍手をあびながら舞台袖に戻る

栞「Aちゃん！！すっごく良かったよ！！今日のAちゃん、いつも以上に輝いてた！」

『そうですか？……ふふっ…私も今回は…終わりを忘れるほどに時間が流れていって…すごく心地よかったです』

歌も、曲も、曲の間奏も

全部がいつもよりも軽くて、もっと弾いていたいって

そう思えるほどに楽しかった

私がピアノを好きになった理由を改めて思い出した

自由になれるから

自由に軽くリズミカルに弾ける、その時感じる風が大好きで

弾いている時空を飛んでるみたいにふわふわしてて、気持ちも音にのって踊ってるみたいで

そんなふうになれるピアノが大好きだったから

でもいつしかそんな感覚も、楽しさも、喜びも全て失っていた

気づかないうちに、楽しくて自由な世界にいられるピアノが

ただの存在理由になって、操り人形の私を作るためのピアノになっていた

本当の、本当に私が続けていた理由は、いつしか消えてしまっていたんだ

だって、ここまで嬉しくて、楽しくて、軽くて、心が踊るなんてこと久しぶりだから

『これも……皆さんの…おかげ……なのかも…』

そして、着替えを済ませ、スタッフさんなど多くの人数で打ち上げが開かれた

栞「明日の昼12時に飛行機だから、それまでは自由に空港でもまわって過ごしましょうか」

『はい…お土産も買いたいので…そうしてくださると嬉しいです』

夜10時、ようやくホテルに戻ってきた

お風呂を済ませて、寝る準備も済ませ、少しテラスに出てみた

心地よい風が吹き抜け、目の前にはキラキラとしたネオン街が広がっていた

『綺麗……です…』

この景色を皆さんにも見てもらいたくて、写真を撮った

よくよくスマホを見ると、栞さんが公演中の写真も沢山とってくれていたようだ

『明日……』

早く皆さんにも見てもらいたい、そう思いながら、私は眠りにつくのだった