【d!】私とピアノと (ページ23)

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5つ目の和音ページ23

『私は、物心もつかない頃からピアノと育ってきました……』

まだ3歳だった、私とピアノの出会いは、母のコンサートに行った時

私はその頃のことを少ししか覚えていないが、コンサート後のステージにあった大きなグランドピアノ

私はそれに釘付けだったらしい

そこからだった

私は徐々にピアノに触れていった

最初なんてただ音を鳴らしているだけ

でもそんな時ひとつの才能がわかることがあった

私は1度聞いた曲を再現できるということ

その事は、今の私にも繋がるくらい大きな強みになった

それから私はピアノを始めた

才能を活かしてどんどん高難易度の曲もできるようになってきた

そして、年長の時、色んな人が審査員で見に来るコンクールで圧勝するほどの記録を残した

それからは母と父が有名演奏家だったこともあり、私の才能は天才と世界から評価され、その歳で有名になった

『でも……別に有名になることは……特に興味もなかったし…いつまでもピアノが弾ければいいと……思っていました……けど……』

周りからの期待、両親からの期待を超えるほどに押し寄せてくるプレッシャー

あの子なら失敗しないだろう、天才なんだから、あの子は世界を代表する子になる

そんな期待と、想像と、未来のことで私は不安に耐えきれなくなった

小学生になって、普通に近くの学校に入学した

楽しみだった、周りの大人のように私にとってはプレッシャーになるほど期待されない、そう信じていたから

でも違った

Aちゃんってなんでも出来るんだね、Aちゃんってホントすごい！！
Aちゃんはやっぱり天才なんだ
Aちゃんは、私たちとは、僕達とは違うんだ

同じ歳の子にも天才だ、凄いんだ、なんでも出来るんだ

ちょっと他の子よりも勉強が出来て、有名になるくらいピアノが弾けるのかもしれない

けど、私だって同じ小学生なのに

そう思ってなんで私はどこに行っても凄い、凄い、凄いって言われるんだって

そんな自分が、だんだんと嫌いになった

時は過ぎ、私もコンクールで優勝を何度も繰り返し、コンサートまでするようになった

でも、その頃には

Aちゃんとは違うの、私じゃ釣り合わないよ
Aちゃんみたいになんでもできるわけじゃないの、そんな事言わないで
Aちゃんは天才だからいいよね、なんでも出来て

そんな言葉に何度も苦しめられた