【d!】私とピアノと (ページ18)

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8小節目の音ページ18

昔からいつもそうだった

母も父も悪気がないことはわかってる、でも……

母「Aも世界的天才ピアニストなんて言われるようになって、私たち嬉しいわ～

自慢の娘よ！この間のコンサートもミスなしだったらしいじゃない、さすがよ！」

父「将来は大きなピアニストになれるぞ～しかしその歳でもう有名人なんだからな！

作曲家にもなれるかもな、Aの作る曲はどれも素晴らしいものばかりだ」

きっと、というか、絶対わざとじゃない、悪気はない

けれど

『そ、そうですね…………お母様、お父様』

その期待は、やがてプレッシャーとなり、私にナイフのように突き刺さる

だからこそ失敗できない

今年の夏のコンサートは、ドイツと、ここ日本

失敗はできない、弾けないなんてありえない

母「あ、私たちもう行かなきゃなの、ごめんなさいね、でも、Aの夏の公演はちゃんと映像から見るから！

Aが輝いてるところ見せてね」

『えっ…………』

父「母さんと一緒に映像からだけど見ているよ、新曲楽しみにしてる

頑張るんだぞ、A」

『はい………お母様、お父様………』

2人はニコニコしながら家を出ていった

2人が私の演奏を見るなんてここ数年なかった

なぜ今回に限って公演を見るのだろう、失敗して、ミスして、止まったりしたらなんて言われる？？

『……………ッ……ﾋｭｯ…………はぁ……』

いつもこれだ、過呼吸

私は思わずドアの前で倒れ込んだ

今年も失敗できない、だからこれまでもちゃんと練習して、ちゃんと作曲してきた、大丈夫

大丈夫、大丈夫、私ならできる

幼い頃から言われてきたその言葉

最初の方はなんとも思わなかった、まぁ物心ついたばかりだったから

でもやがて、小学生となって、私にとってはプレッシャーに感じてきた

いつもお母様とお父様に久しぶりに会う時はドキドキしていた

怒られるんじゃないか、もう褒めてくれなくなるんじゃないか

いつもいつも、そう考えて

そして今日も、そう感じながら

『私は……大丈夫………ちゃんとできる……それに………皆さんもいる』

もう少しで私の過去や日常を話さなければいけない時が来る

そんな生徒会メンバーの人達と過ごすようになって少し心の中に余裕が出来た

だから大丈夫

そう信じて私は立ち上がり、その日は何も食べずに眠りについた

次の日、あんなことが起きるとも知らずに