【d!】初恋に彩りを【syp】 (ページ5)

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憧れの人ページ5

『俺は…入学してきた紫乃翔です、ショッピって呼ばれてます、高等部一年っす

えっと…A先輩、よろしくお願いします』

間違いない、この人だ

俺があの日見た絵画を描いたのは

「ふふっ、Aでいいよ」

『えっ…でも…』

「いいからいいから、私もその方が話しやすいし」

『……じゃあお言葉に甘えて…A先輩』

「うんうん！じゃあ、ショッピ君、にしてもこんなところまで一体ｎ『あ、あの…！！』ん？」

俺は先輩の言葉を制止するように言葉を発する

『俺が見た絵、じゃないくて、『透明の本』っていう作品を描いたのって、A先輩ですよね！！』

俺の言葉に、分かりやすく表情を変えるA先輩

「『透明の本』か、懐かしいな～、確か校長先生が勝手にいろんな中学の文化祭に出展してたやつ」

そうだったのか

だからあんなに驚いた表情をしたわけだ

『俺、先輩のあの作品に憧れて、この学校に入学したんです』

「へっ？そうなの？そんな小説みたいなストーリー、ほんとにあるんだね」

今だ驚いているが、なるほどと理解し始める先輩

「にしてもあの水彩画にねぇ……君みたいな人初めてだよ」

『部活動紹介がなかったので焦りましたけど』

俺がそういうと、思い出したように先輩はぴくっと反応した

「そういえばそんなのあったね～忘れてた、普通部活動紹介にない部活なんて探そうなんて思わないよ、やっぱり君、変わってる」

そういってほほ笑む先輩

窓から入ってくる太陽の光が先輩を照らし、先輩の目の色とあっていてこれまでにないくらい綺麗だった

『美術部は……ないんですか？』

「ううん、ちゃんとある、といっても私一人だけど」

そういいながら桜の絵を見ながらつぶやく

「一年生のころまでは部員はまだ5人ちゃんといたの、だけど全員三年生の先輩で、気づけば私だけになってた

美術部も私が卒業したらなくなっちゃうんだろうけどね、私以外誰もいないんだもん」

そう話す先輩は寂しげな眼をしていた

「って、こんなこと話してごめんね、わざわざ私の作品のために入学してきたなんて子ほんとにいると思わなくて『先輩』……」

『俺、美術部に入部します

だから先輩、俺に絵を教えてください』

真剣に、真っ直ぐに先輩の目を見る

「……ようこそ、美術部へ」

そういった先輩は優しく、まるで光のような笑顔だった

俺はその笑顔に

先輩に

恋をした