【d!】初恋に彩りを【syp】 (ページ11)

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夏祭りページ11

そして、夏休みが終わる数日前

夏祭りの日がやってきた

この辺の夏祭りは8月に入って毎週やっていたが、1番大きくて屋台も沢山あるこの日の夏祭りに行くことにした

待ち合わせの時間は午後5時、駅前で

少し早めに着いたが、駅前は恐らく同じ夏祭りに行くであろう人達で賑わっていた

『これ…先輩と合流するまでにもっと人増えるんちゃうか…』

なんて思っていたら

「しょーっぴくん」

『わっ？！…ちょ、先輩…驚かさ…な…いで…って…その格好…』

俺の後ろからぴょんっと現れた先輩は、浴衣姿だった

紫に鈴蘭がデザインされた浴衣に白い帯、後ろでリボンになっている、足元は下駄ではなく、リボンのついた少し和風なサンダルみたいで

いつも長い髪はハーフアップにされ、紫の花飾りをしていた

「せっかくの夏祭りだからさ、少しでも可愛くしたいな〜と思って！どうかな？」

『す、…すっごい可愛いっすよ、ほんとに』

「んふふ、ありがとー、なんか紫ってさ、ショッピくんみたいじゃない？目の色もそうだし、雰囲気だけど」

『！！』

先輩、そんなこと思っててくれたんや

確かに最初人目見た時、俺の色、って思ったけどさすがにないかと思ってすぐ思考から消したが

『じゃあ、今日は俺だけの先輩、ですね』

「ふふっ、そうだね」

ほんと、そういうとこっすよ、先輩

俺は思ってたより、先輩を独占したいし、俺だけのものにしたいし、大好きみたいっすね

『じゃあ、行きましょうか』

「うんうん！行こっか」

2人並んで歩き出す

夏祭りの会場は、既に人で賑わっていた

隣の先輩を見ると、とても目がキラキラしていた

少し油断したら人混みに飲まれそうだ

よし

『先輩、手、繋ぎましょ』

「うん、いいよ」

少し緊張して先輩の手をとる、やっぱり俺より2回りくらい小さくて、細くて、握ったら壊れてしまいそうな

俺はできるかぎり優しく握って、そのまま道を歩き出した

「ショッピくんみてみて！射的だよ！」

「やは〜、りんご飴、この時期しか食べられないから幸せ〜」

「焼きそばひとつください、お箸2ぜんお願いします」

「たこ焼き、あつい…」

「この狐のお面可愛い〜！」

隣で子供のようにキラキラと嬉しそうにしている先輩を見ると、俺も不思議と元気が出た

そして何より、好きな人とこうやって過ごせることが

とても幸せやなぁ、って