どうにも ページ16
そんな化け物は退治されるのが話のオチだ。
湊くんとうさぎちゃんが、同じホテルから出てくるのを目撃しえしまった私は、一体どうすれば良いのだろう。動けずにいる私を二人が見つけるまで、どんな顔をしてどんなことを考えていたか、全く思い出せない。ただ、うさぎちゃんだけが私を見つけた途端、目を輝かせてたことだけ記憶している。湊くんは残念ながら覚えていなかった。
｢Aちゃん！どうしてここいるの！？｣
うさぎちゃんの甲高い声が、今日はウザったいほどよく聞こえた。彼女が私に駆け寄る。そしてベタベタと私に触れるうさぎちゃんは、さっきまで何をしていたのだろう。何を触った手で、私に触れるの。でも、頭が痛くなるほどの状況で、私は少しばかり安心して、肩にかけていたトートバッグが地面に落ちた。ふは、と笑う。おかしいくらい、面白さが込み上げてきた。
あぁ、やっぱりね。私の人生はこうでなくっちゃ。ごめんうさぎちゃん。あなたのこと侮ってたみたい。なんだっけ。小さな絶望と幸福、そして退屈。そんなこと言ったけど、全然そんなことなかった。
私、まだあなたのこと、愛せるかなぁ。ううん、愛さなきゃ。それでこそ私の人生だ。
｢Aちゃん……？あ、あの！おにーさんこの子わたしの親友なんですけど…………、おにーさん？｣
うさぎちゃんが振り向き、湊くんを呼ぶ。最初から最後まで、彼は口も目もかっぴらいて見ていることは知っていたけど、そんなに心配しなくていいのになぁ。あ、でも。私はちゃんと仕事って知ってるけど、頑張って私の相手をしている湊くんからしたら、これは立派な浮気現場になってしまうのか。どうしよう、怒った方がいいかな。でもうさぎちゃん、一応私のカレシってこと知らないから、もし知ったら悲しむかも。
…………まぁ。もう、全部どうでもいいか。
湊くん、私が呼ぶと、彼は身体中を強ばらせて、私の言葉を待つ。あーぁ、弁解もしれくれないんだ。ふふ。笑うと、湊くんはやっと時が動いたように、私へ一歩足を踏み出した。私はそれに背を向ける。
｢私、用事できたから帰るね｣
今日デートしよって湊くんが言ったくせに。ちょっと遅れるって言うから、お気に入りのお菓子が置かれたコンビニに行こうと思った私が悪かったのかな。
うん、きっとそうだ。私が悪くなかったことなんて、ただの一度も無かった話だもの。……だから、追いかけてこなくていいよ、湊くん。
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ひな(プロフ) - ぴた様の書かれる言葉や文が大好きです。素直に好きだという２文字しか出てきません。胸焼けしてゆくみたいに心の底からすごいって思います。お話が面白くて、語彙力が高くて、キャラ像が崩壊しなくて、いい意味で胃もたれしました！ありがとうございました！！ (5月9日 1時) (
レス) @page50 id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
弓月有無％(プロフ) - 完結おめでとう御座います！！世界線も繋がってるの面白かったですし、やっぱり惹かれる様な題名や言い回し、表現の仕方 物語で毎回どきどきします！後書きまでも共感しましたし＋αも本編も迚も胸に残る様な感じで印象深く本当に素敵でした!是からも応援しております！ (3月28日 21時) (レス) @page50 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
ぴた(プロフ) - 桃花さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。これからもどうかよろしくお願いします🫶 (3月13日 23時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
桃花 - めっちゃ面白いです！作者さんの作品好きで全部見てるのですが、この作品が特に好きです！ドロドロとした関係で、ストーリーめっちゃ考えられててすごいなって思います。 (3月13日 23時) (レス) @page41 id: 395406b1cf (このIDを非表示/違反報告)
ぴた(プロフ) - しずくさん» コメントありがとうございます💓これからも楽しんでいただければ嬉しいです！ (3月8日 23時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴた
| 作成日時：2023年12月15日 16時
