ガチ恋私のライバー【knmc】

変わらないのは君への愛 ページ45

飛行機を降りて、まず大きく伸びをした。一年ぶりの空港は何一つ大きく変わってなくて、帰ってきたって感じがする。とくとく、心臓が忙しない。


一年前に置いてきたものを全て拾わなければ。……その前にはまず、トランクから。数百とトランクが流れてくるコンベアから私の物を探し当てることが、日本に帰ってきて最初にすること。一年前は隙間があった中身も、今になってはパンパンに詰まって重くなっていた。数分待ってやっと姿を現したトランクが目の前に来るまで、私はぼぅ、と時を待つ。私の隣に並んだ人も、きっと私と同じようにそれを待っていた。



｢トランク見つかった？｣
｢？、はい。もう少し、で……………｣



隣を見上げ目を丸める私から目を離し、その人は私のトランクをコンベアから持ち上げた。重って、その声。その横顔。その髪色に、私を収めた、その芯を持ったエメラルド。まるきり変わってない。いるはずがないのにここにいる、私が恋して、そして愛した人。


とうやせんぱい。彼は目尻を下げて、おかえりと言った。それ以外の音が私の世界から消えて、私が持つもの全てが彼を注視し、奪われていく。眼球も心臓も手も足も耳も、唇でさえ停止して、彼の言葉を待っていた。



｢逢いたかった｣



それに飛びついたのは私の意思じゃない。全部先輩に奪われてしまったせいだ。こんな風に子どもみたいな再会にするつもりなかったのに身体が勝手に！って。そんな言い訳さえ思い浮かばない。ただ私は、細胞レベルで彼を愛している。それが変わらなかった、そんなことが証明されただけだった。



｢せんぱい、とうやせんぱい。逢いたかったです、私もとっても、あはは！やっと逢えた！！｣
｢ふは、あはは！Aだ。おかえりA！僕の好きなAが、やっと帰ってきた！｣



興奮でぐちゃぐちゃで、私たちは意味もわからず笑い転げた。笑っているのに勝手に涙が出てきて、よく見るとそれは先輩も。先輩が私を抱き上げると、彼より少しだけ背が高くなった。おでこをくっつけ、視界を先輩でいっぱいにする。


自由な両手で先輩の頬を包んだら、私のものになったみたいだった。そして彼も、きっとその時を待ってくれていた。



｢……刀也先輩。一年前言った通りたくさん待たせましたけど、待ちくたびれちゃいましたか？｣



それに首を振った先輩は、自信満々にこう言う。



｢Aが僕を好きなこと知ってるから｣



その顔に、私はまた恋をするんだ。

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