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死んだお前がぜんぶ悪い。悪くないって言いたいなら生き返ってみせろよ。なぁ、ぜんぶ言っちまうぞ。…………つまんねぇの。
本当に死んじまったんだなぁ、A。
祈りの最中に話しかけるとぷくぷく怖くもねぇ顔で怒ったAはもういない。ぼぅとカナエの帰りを待つAも、獣人とケラケラ笑うAも。葛葉と、俺を呼んだAも、もう何処に居ない。いるのはカナエだけだ。お前がよろしくと言い遺した、この国で唯一存在したお前の味方。
頼まれたからには、俺は何とかしなければならない。そういうの約束だったし、次俺たちが交わった時に。俺はアイツに胸を張れる俺でなければならない、から。
「カナエ、知ってるか」
カナエは視線さえも寄越さなかった。カナエの心はいつもAに向いて、それに気づかなかったお前は心底阿呆だ。でも、そんな所が俺は心底可愛くて、大好きだったよ。
「お前はここに居座るアイツに早く寝ろとか暖かい場所にいろとか口うるせぇくらい言って、こいつもそれに律儀に従ってたけど。お前が外で聖女狩り……いや、偵察か。している間にずっと俺に聞いてくんだよ。カナエってどこ?まだ帰ってないの?って。クソ寒いここで、寝転んでお前の帰りを待っていた。もしかしたら、お前の願望、ちょっとは叶ってたんじゃねぇの。お前の勝手な後悔で、あの時のあいつを無かったことにするのは、」
あんまりなんじゃじゃねぇの。
カナエは何も答えなかった。やがて祈りを追えると、立ち上がる。もう行くよって声を出した。その後ろ姿について行こうとして、………俺の手はまた、Aの頬に吸い寄せられる。するすると指先は流れ、首筋に辿り着いた。…………ぬるい温度。味もやっぱり、きっと思った通りだ。
「___マズ」
次会うときは、もっと美味くなるよう生まれてこいよ。そんで、その声で、俺を楽しませてくれ。そんな願望と一緒に皮膚にプツリと穴の空いた2箇所を、俺は青々としたアイモネで覆い隠した。
「ねぇサーシャ」
「あ?」
「僕は次に賭けてみることにした。諦めないことにした」
「……」
「いつか、またAに逢えたら。僕は今度こそ、僕の意思でAのそばにいたい。……サーシャはどうする?またAに逢えたら」
俺はそれを無視しようとしたけど、口が勝手に息を吸った。吐くと同時に、ポロリと頬に水滴が掠る。
「あいてぇなぁ」
ただ。それだけだった。
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シィ(プロフ) - きゃーなんて綺麗な声ではなく悶えるような声を発しながら楽しく読んでいたら気づけば無言で涙ボロボロで読んでました。後日談とか勝手に考えてさらにもーッ!!!って気分です。最高でした。 (4月2日 2時) (レス) @page49 id: 45c181e6d5 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 数時間で一気読みしました。長い長い映画を見たような気分で、ずっと泣いています。「二次創作」や「夢小説」の一言で片付けるにはあまりに勿体ないほどの作品でした。本当にこの作品に出会えてよかった! 現世でも来世でも、さくらもちに幸あれ!! (3月28日 23時) (レス) id: 50bb1a18fa (このIDを非表示/違反報告)
紫月とと - 初めて拝見してから一気見をしてもうボロボロと泣きっぱなしでした笑 こんなにも綺麗な恋があるのだろうか、と夢を見させて頂きましたし、何よりも二人の気持ちが尊すぎました😿🤍 さくらもちに永遠の幸あれ! (3月28日 15時) (レス) @page49 id: 5d87268641 (このIDを非表示/違反報告)
なえ(プロフ) - コメント失礼します。今日(昨日)初めて見てそのまま一気見したのですがここまで大号泣した夢小説は初めてです。軽い気持ちで臨んだのに…とてもよかったです。さくらもちお幸せに! (3月25日 1時) (レス) id: a0bf3e5ea8 (このIDを非表示/違反報告)
るるなる(プロフ) - 完結おめでとうございます、今目の前が見えないぐらい号泣しているのですが、、。幸せな気持ちでいっぱいです。長期連載お疲れ様でしたこれからも何回も見返します。そしてこれからも150年も幸せであれ!さくらもち!! (3月6日 21時) (レス) @page49 id: e4083c598e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴた | 作成日時:2023年11月19日 17時