ガチ恋私のライバー【knmc】

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「僕とあいつ、何が違ったんだろう。僕は僕なりに、大切に優しくしたつもりだったのに。……ふは、なんてね。Aから全てを奪った人間が、何言ってんだか｣



カナエは笑ったけれど、それはおかしさというより、自分への嘲笑のような笑い方だった。



｢僕の一族はね、聖女の監視に加えて教会に聖女を献上するのが仕事なんだ。それだけで一族が遊んで暮らせる金が手に入る。……たまに、それを知らない愚か者が僕を救うなんて宣って近寄ってくるけどね｣



そこには神父なんていなかった。ただ一人の人間が抱えた苦悩が、そこにはあった。カナエは目を伏せた。まるで罪を告白するように、その口は重い。



僕が15の頃、父さんが仕えていた聖女が死んだ。次は僕の番だった。……聖女の監視は男じゃないと務まらないんだ。愛だの恋だの、そんなものを人工的に生み出す為にね。僕の次は僕の弟、その次は三男、そして兄弟を一回りしたら次は僕の息子の番だ。くだらないって思うだろ？僕らは聖女に仕える為に生まれ、聖女を監視させる為に子どもを作るんだ。


そして僕が神父になって一番の仕事は、……まだ聖女じゃなかったAを攫うことだった。誰しも生まれた時は人間さ、聖女じゃない。その素質を持ち、そして開花させた人間を僕らが聖女にするんだ。一定の間隔で生まれるその人間を教会が監視し、時期が来たら連れ去る。そうやって聖女はうまれる。Aも例外じゃなかった。


僕は見ていた。Aの父親、母親、そしてあの子が連れ出される所を。今でも鮮明に思い出せる。まず僕の父さんがAの家に入った。次に母さん、そして一匹のヴァンパイア。話し合いが決裂すればすぐに部屋の中は血まみれになる。……なぁ葛葉、なんで君はこの空間にいられると思う？魔を嫌うこの場所で、どうして君はここで息ができる。ふは、簡単な理由だよ。攫った子どもの記憶を消すために僕らはヴァンパイアと契約して、こうして聖女にしているから。記憶を全て消すから自我は薄くなる。言葉も忘れ、そして最低限の言葉で縛るから喋らない。……そうすれば、都合のいい人形の完成ってわけ。おかしいだろ。A、本当はあんな子じゃないんだ。お喋りでわがままで、世界の広さを知らない故の傲慢さを持った、ただの子どもだったんだよ。僕はずっと見ていた。監視して、僕ら一族の平穏の生贄にしようとした。


僕の生きる道は、そうと決まっていたから、当然僕もそうするつもりだった。








なのに。

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