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そのちっぽけな身体で背負い込む悲しみが、ポツポツと棺桶を濡らす。こんなにもお前の死を悲しむやつがいるんだぞ。目を真っ赤に腫らして声も出ないほど、なぁ。お前の生きた証がここにあった。カナエも棺桶を覗き込む。その瞳にこいつは、どんな表情をして映るのだろう。
｢…………ほんと、寝てるみたいな顔してるよね｣
｢死んでんぞ｣
｢知ってる。カッコつけたかっただけだよ｣
骨ばった指先がゆったりAの瞼をなぞった。そうしてたっぷり数十秒の無言の後、カナエは口を開いた。
｢こんな穏やかな顔で死ねるもんなんだね｣
｢てか何持ってんのお前｣
｢それ今聞く？……つまらないものだよ。僕の自己満足と同情、それと。Aが一万分の一でも喜んでくれたらっていう期待｣
｢結局なに？｣
｢眼球｣
袋がら出すとそれは思うより小さかった。片手で十分に収まる二つの赤、誰の物であるかなんて聞かなくとも予想がついた。
｢あそこから狼くんの死体を運び出すは簡単だった。みんな聖女の死体にしか興味ないからね。獣人は僕に任せてって言えばみんな面白いくらい手を引いたし。……誰一人、Aの死を悲しむ人間はいなかった。この子の幸福を願った人間なんて、どんなに期待したって現れない。あーぁ、ここは生きずらいねぇ、サーシャ。何一つ、この子にとっての自由がない。好きな人と生きていたいって些細な願いさえ、奪われて潰される｣
カナエはそう呟きながら花をかき分け、その隙間に手を差し込む。カナエが俯くから、長い横髪が顔にかかった。俺はそれを指先で掬い、耳にかけてやった。カナエが目を見開く。
｢なぁカナエ。なんで見逃した？お前なら止められたろ｣
それにカナエは、ふ、と笑う。そして軽く首を振って横髪を落とすと、ゆったりした足取りで聖母像が祀られた教会の奥へ向かう。そうして、段に腰を下ろした。
｢サーシャも座る？｣
｢俺はいい｣
｢そう。小狐くんここおいで。……いい子｣
なぁ葛葉。小狐を撫でながらカナエが俺を呼ぶ。小狐は撫でられて気が抜けたのか、ゆったりと瞼を閉じていた。
｢僕はね、賭けたんだ｣
｢賭け？｣
｢そう。Aがあいつと僕、どちらを選ぶか。そして期待した。僕を選んでくれることを｣
伏せた瞼が上がり、俺を見上げる。その動作にどうにもAを思い出して、似通った箇所を見つける度こんな思いをするのだろうかと思った。
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シィ(プロフ) - きゃーなんて綺麗な声ではなく悶えるような声を発しながら楽しく読んでいたら気づけば無言で涙ボロボロで読んでました。後日談とか勝手に考えてさらにもーッ!!!って気分です。最高でした。 (4月2日 2時) (
レス) @page49 id: 45c181e6d5 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 数時間で一気読みしました。長い長い映画を見たような気分で、ずっと泣いています。「二次創作」や「夢小説」の一言で片付けるにはあまりに勿体ないほどの作品でした。本当にこの作品に出会えてよかった！ 現世でも来世でも、さくらもちに幸あれ！！ (3月28日 23時) (レス) id: 50bb1a18fa (このIDを非表示/違反報告)
紫月とと - 初めて拝見してから一気見をしてもうボロボロと泣きっぱなしでした笑 こんなにも綺麗な恋があるのだろうか、と夢を見させて頂きましたし、何よりも二人の気持ちが尊すぎました😿🤍 さくらもちに永遠の幸あれ！ (3月28日 15時) (レス) @page49 id: 5d87268641 (このIDを非表示/違反報告)
なえ(プロフ) - コメント失礼します。今日（昨日）初めて見てそのまま一気見したのですがここまで大号泣した夢小説は初めてです。軽い気持ちで臨んだのに…とてもよかったです。さくらもちお幸せに！ (3月25日 1時) (レス) id: a0bf3e5ea8 (このIDを非表示/違反報告)
るるなる(プロフ) - 完結おめでとうございます、今目の前が見えないぐらい号泣しているのですが、、。幸せな気持ちでいっぱいです。長期連載お疲れ様でしたこれからも何回も見返します。そしてこれからも150年も幸せであれ！さくらもち！！ (3月6日 21時) (レス) @page49 id: e4083c598e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴた
| 作成日時：2023年11月19日 17時
