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縺溘□蜷帙↓縺ゅ>縺溘> ページ33

獣人と聖女。そんな二人の逃避行は、僅か一夜にも満たない、まるで春の夜の夢のような結末だった。でも、俺は知っている。今、目の前で棺桶に入れられたのAが死んだ本当の理由は、花に埋もれて隠された、脇腹に空いた穴では無いことを。アイツらの春を渇望した夢はここでは終わらないことを。


…………そう、俺が信じたいだけかもしれないけれど。


見下ろす。もう開かない瞼と目が合った。








「お前やっぱちっせぇなぁ。元々ミジンコみたいにちいせぇけど、こんなにでけぇ棺桶に入れられたら尚更、…………結局ここに戻ってきちまって、最後まで可哀想なやつだよ、 本当に」



頬に指先を滑らせると、しっとりとした肌の奥に体温は存在しなかった。でも、こいつは眠っているみたいな澄ました顔をしているから、またその瞼が開くことを、どうしようもなく期待してしまう。いい夢見てたのにってその潤んだ唇を尖らし、アメジストが俺を吸い寄せることを。艶んだ髪が、ふわりと風に靡く様。


聖女は朽ちない。死体は綺麗なまま燃やされ、教会の裏手にある墓地に追いやられる。こんな生きた見た目をしていようと、用済みの消耗品に情けをかけるような、そんな生暖かい世界ではなかった。Aが生きて、逃げ出した世界は、お前みたいに綺麗な、そんな美しい場所じゃない。葛葉と呼ぶ、その耳に馴染んだ声は年月を重ねる度劣化していき、いつか消え去る。Aは永遠に朽ちないけれど、俺の記憶は面白いほど簡単に朽ちていく。……やっぱ礼貰っときゃ良かった、なんて、冗談交じりに呟いてみる。でも、爪の先までアイツのものになったAから、今更俺は何も奪えなかった。後悔したって、何もかももう、後の祭りだ。



____ギィ。俺は振り返る。教会の扉から、カナエが顔を覗かせた。片手で赤く滲んだ袋を持ち、なんでもない顔で、それは俺に微笑んだ。



「サーシャ。ここにいたんだ」
「……いちゃ悪ぃかよ」
「いいや?ただ一応言っておくけど、ここは僕以外立ち入り禁止だよ。…………まぁ、今更だけどね。出ておいで、小狐くん。隠れなくたって怒らないからさ」
「は?…………お前よくそんなとこ入ったな」



Aの棺桶を入れる為に片隅に積み上げられたベンチの隙間から、ソイツはひょこりと顔を出す。器用に這い出ると、棺桶に駆け寄った。そしてその中を覗いて、パタリと水滴が零れた。…………あぁ、お前良かったなぁ、って。俺は柄にもなく思ってしまった。

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作品ジャンル:ラブコメ
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シィ(プロフ) - きゃーなんて綺麗な声ではなく悶えるような声を発しながら楽しく読んでいたら気づけば無言で涙ボロボロで読んでました。後日談とか勝手に考えてさらにもーッ!!!って気分です。最高でした。 (4月2日 2時) (レス) @page49 id: 45c181e6d5 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 数時間で一気読みしました。長い長い映画を見たような気分で、ずっと泣いています。「二次創作」や「夢小説」の一言で片付けるにはあまりに勿体ないほどの作品でした。本当にこの作品に出会えてよかった! 現世でも来世でも、さくらもちに幸あれ!! (3月28日 23時) (レス) id: 50bb1a18fa (このIDを非表示/違反報告)
紫月とと - 初めて拝見してから一気見をしてもうボロボロと泣きっぱなしでした笑 こんなにも綺麗な恋があるのだろうか、と夢を見させて頂きましたし、何よりも二人の気持ちが尊すぎました😿🤍 さくらもちに永遠の幸あれ! (3月28日 15時) (レス) @page49 id: 5d87268641 (このIDを非表示/違反報告)
なえ(プロフ) - コメント失礼します。今日(昨日)初めて見てそのまま一気見したのですがここまで大号泣した夢小説は初めてです。軽い気持ちで臨んだのに…とてもよかったです。さくらもちお幸せに! (3月25日 1時) (レス) id: a0bf3e5ea8 (このIDを非表示/違反報告)
るるなる(プロフ) - 完結おめでとうございます、今目の前が見えないぐらい号泣しているのですが、、。幸せな気持ちでいっぱいです。長期連載お疲れ様でしたこれからも何回も見返します。そしてこれからも150年も幸せであれ!さくらもち!! (3月6日 21時) (レス) @page49 id: e4083c598e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴた | 作成日時:2023年11月19日 17時

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