四月の馬鹿ども、w【fsm】

唖然 ページ6

どうしたらガク君の特別になれるのだろう。やっぱり告白かなぁ。……それで、ある意味彼の特別になれたけど振られるんだろうな。


｢そんなのしてみなきゃ分かんなくない？｣
｢しなくても予想がつくことっていっぱいなるでしょ？例えば……今ピスサイ君の頬を思いっきり引っぱたいたらピスサイ君はびっくりした顔をする、みたいな｣
｢しないでよ！？｣
｢しないよ。でも、そういうことだよ｣


ガク君の眼中に入りたかった。でも今のままじゃ絶対無理だから、私はこんな最悪な方法でしかきっと彼に見て貰えない。私が今まで着いてきてくれたファンを蹴ってまでガク君の瞳に映るか、映らないか。……映りたいなぁ。彼の唯一無二が欲しい。


｢！？、なんで泣いてんの！？｣
｢うるさいほっとけばか｣
｢僕よりよっぽど情緒不安定じゃんか……｣


慌てて常備された紙ナプキンを私に手渡すピスサイ君の腕を掴めば、彼は困惑しきった顔で動きを止める。……ガク君の腕はもっと逞しいのかな。ピスサイ君はガク君に触れたこととかあるのかなぁ。でも、きっと彼に触れられた事はあるんだろう。それが暴力でも、私は羨ましかった。……ここまで来てしまった。


｢ピスサイ君は。……たくさんの人を裏切ることになっても、自分のやりたいことをするべきって思う？｣


………彼はいつも黙ってしまう。そして小さな声で｢やめときなよ｣と呟いて、私の手から腕を振りほどいた。


｢そりゃ君がしたいなら僕は止めないよ。でも僕君の配信結構好きだしそれに君って人気者でしょ？いつかコラボ出来るかもしれないんだからわざわざ炎上したり…………君がにじさんじ辞めそうな事態は止めておきたいのが本音かもね｣
｢にじさんじを辞める？……私が、？｣
｢だって君、僕には理解できないけど伏見ガクに近づくためににじさんじ入ったんでしょ。フラれたらいる意味ない……とは言わないけどやる気は半減しちゃわない？｣


確かにそうだ。炎上の可能性は考えていたけど、私がにじさんじにいる意味を無くしてしまう事に気づかなかった。……おもむろにTwitterを開いて、少し考えた。


｢……まァ僕は君がフラれても一緒に泣いてあげないからね。思いっきりイジるつもりだから覚悟しといて｣
｢……｣
｢それが嫌なら告白しなきゃいいし………何か反応してよ｣


もし告白してフラれて炎上しても、ピスサイ君だけは変わらないんだろうな。……どうしてかそれだけあれば十分な気がした。そんな自分に唖然とした。

罪→←価値

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