諦め ページ33
睨み合い……正しくは私が勝手に怒って睨んでいるだけだけど、ガク君はむしろそんな私にほ、と緩く息を吐いた。
｢ごめん。今のは君が怒るって分かって言ったんだ｣
｢……なんですか、それ｣
｢白状すれば……最低だとは分かっているが怒ってほしくて言ったんだ。現に、俺は君がそうやって怒ってくれて心底安心してる｣
試すような事してごめんな、ってガク君はまた謝った。私はそんな事をする意味が理解できなくて、どうしてと聞き返した。ガク君を少し間を空け、答える。
｢………人の子の心は移ろいやすいから｣
ガク君は私の瞳を深くまで探るようにじっと見つめる。ふ、と口元だけ笑ったが、それは嬉しそうというよりずっと諦めと哀の感情が混ざりあったような、そんな色が込められているように感じた。
｢俺はいつも置いていかれてばっかりで、……きっとこれからもそうなんだと思う。それでいいって俺自身も思っていたし｣
ガク君は私から目を逸らす。
｢あの日からずっと君の事を考えてた。……俺は確かに、君の言った好きを本当より軽く考えていたんだと思う。それをあの日君が気づかせてくれた。………でも、きっと。俺は君の好きを完全に信じる事はこの先一生無いと思うし、｣
…………それは君も同じなんだろうな。
私は、見透かされたって思った。己の愚かで浅はかで、一番知られてはならない部分を見抜かれていた。世界で一番大好きな人に。すると途端にガク君の瞳が恐ろしくなって、私はその探るような視線から逃げるように周囲を見渡してピスサイ君の姿を意味もなく探してしまった。
｢Aちゃん｣
＿＿＿ゾクリ。その声に心臓に爪を立てられたように冷や汗が全身を巡る。
｢俺、結構重いから………俺といる時はあんまりキョロキロしないで｣
私はうんとしか言えず、平然を装って冷めたコーヒーを啜る。味はしなかった。………なんで、こんなに。酷いことばっかり言えるんだろう。
｢………ガク君｣
やだな。最近泣いてばっかりだっだから簡単に涙が出て来る。何度目かも分からない最後だけど、本当にこれでお終いにしよう。傷つけてばっかりでごめんね、でも。こんな時でも頭の片隅で貴方の忘れられない傷になれたなら、なんて。
｢………私のこと好きじゃないならほおっておいて、ください｣
こう言えばガク君は何も言えなくなるって知ってる。震えた声は、きっとこの地球上で最も惨めで、情けない形をしているのだろう。
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あやせ - 完結おめでとうございます！面白くて大好きです！ (3月7日 8時) (
レス) @page43 id: 22218ac678 (このIDを非表示/違反報告)
利き手(プロフ) - あぁ...タイトル回収......完結おめでとうございます！！すごく！！すごく面白かったです！、！！！！ (8月20日 9時) (レス) @page44 id: fbcc91bb13 (このIDを非表示/違反報告)
ラク - 完結おめでとうございます！！fsmもpssiも作品があまりなかったので最高の作品に出会えて嬉しいです！素晴らしい作品をありがとうございました！ (8月14日 23時) (レス) @page44 id: b973ae7cca (このIDを非表示/違反報告)
ぴた(プロフ) - ハルトさん» 楽しんでいただけて何よりです〜！長い間ありがとうございました！過去にも何度もコメントして頂けていて、心の支えでした……こちらこそありがとうございました〜！ (8月14日 21時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
ぴた(プロフ) - 落ち椿さん» コメントありがとうございます！初期の方からずっと見ていただけて、とても嬉しいです。fsm夢はもっと増えてほしいですよね！笑。嬉しいお言葉本当にありがとうございます〜！ (8月14日 21時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴた
| 作成日時：2023年4月9日 19時
