四月の馬鹿ども、w【fsm】

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私がにじさんじを受けたきっかけはただ本当にガク君に近づきたかっただけだったから、受かって配信をする自分が始めは違和感でしかなかった。今でも、しっくりくる事はない。私はなんでにじさんじに入れるんだろうって、毎日思う。でもガク君のそばにいたいから辞めるつもりはなかつた。



｢配信しててさ、色んな人が好きって言ってくれて嬉しいけど。……私が好きなのはガク君だけで、ガク君のそばにいたいがために配信してるから、……あんまり、素直に喜んじゃダメだと思うんだよねぇ。私にそんな資格ないのにさ｣
｢でもそれって、リスナーには関係無い話じゃない？君がどう思おうとリスナーがそれに気づく事はないからね。その考え方は結局僕とっては贅沢な悩みだよ。僕は好きって言ってもらえないのに言われるだけマシでしょ。嫌味なやつ〜｣
｢私の悩みをお前のものさしで測るのは間違いだよ。女の子の会話のコツは共感。否定から入ったら嫌われるからね｣
｢………君は僕のこと嫌わないでしょ｣
｢そーだね｣



彼はまた驚いた顔をして私を見つめた。さっきまで自信なさげにゆらゆら揺れて、水面に映る己ばかり見てたくせに。嫌われるのが何より怖いから人を遠ざけて、でも一人は嫌な人間らしいピスサイ君が、私は好きだった。



｢こんなこと話せるの、ピスサイ君だけだからねぇ｣



じわりと染まる頬と上がっていく彼の口角。認められる喜びがピスサイ君の自尊心を刺激していくのが私は手に取るように分かった。私が取りこぼした人間性を彼は全て抱えている。自己顕示欲や承認欲求でぐちゃぐちゃになる彼を見ていると、私は己に欠けた心の欠陥を取り戻した気になれるのだ。

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