73:余韻に浸り不運が来る ページ25
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兄が、この会場にいる…
それがわかったことで何かある訳では無いけど、会いたい反面 会いたくないと天邪鬼になる
ザワつく胸を抑えられないまま座席に戻って、2回戦を始める声に意識を向けた
寂雷さんと飴村さんのチーム対決
「ら"むだちゃぁああん!!!!」
友人の大興奮声に苦笑してしまうけど、今はそれが少し有り難かった
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「う、うぅ…グスッ、」
『よしよし…たんとお泣き』
「A〜!、悔しいよぉ…!」
2回戦も激戦で、結果勝ち上がったのは…寂雷さんのチームだった
温厚で聖母の様な寂雷さんの猛追する姿は狼そのもので、初めて見た姿に驚きを隠せなかった
あと、少しだけ飴村さんの様子が序盤は可笑しいかったのは気になる…っと考えてる余地は今は無い
理由は…お察しの通り、激推し友人が悔しさで号泣している
廊下のベンチに座り、退場していく人達の中で彼女と同じ様に涙する人を眺め乍背を撫でる
ここまで感情を表す程大好きなのがよくわかる…何かに熱中し、全力でいられる彼女らを少し羨ましく思う
友人のため、飲み物を買ってくると声を掛け席を立ち、自販機前に向かうけど人の波を横断するため少し苦労した
お金を入れれボタンを押そうとした時、後ろから伸びてきた手に先を越された
『あ"ぁあ"!?!』
「可愛げねぇなぁ…ちっとは女らしい声出してみろ」
『?!…は、らい…空却!!!』
憎たらしい声と共にケラケラと笑う指の主に振り向けば、赤髪の暴君こと波羅夷空却
兄がいる時点で彼も居ると予想はできていたが、再会するとは思わなかった
「お前がここに居るとはな…見かけたから、声掛けてやったんだ。有難く思えよボッチ」
『失敬な、友達と来とるわ!! …ってそれ、私のお金で買ったやつ!』
「ケチケチすんなよ、禿げるぞ」
『禿げんわ、舐めとんのか!?』
「お前、相変わらず拙僧に牙向き出しだなぁ?」
勝手に押されて買ってしまったコーラの蓋を勝手に開けて飲み始めた彼に眉間にシワがよる
このお方、昔から私を小馬鹿にするから…天敵だ
『礼儀もクソもないガキンチョ相手ですから』
「お前も大概だろ」
哀れみの目を向けられ少しイラッとくる…私悪くなくない?
ねぇ、悪くなくない?
「っと、そーだ…この後ツラ貸せよ」
『無理、友達待ってるし…この手はカツアゲ?』
「んなわけねぇだろ…携帯出せ」
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Trash(プロフ) - この作品大好きで…無理をなさらないように頑張ってください! (9月24日 10時) (レス) id: 16ea785e42 (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 続き楽しみです! (7月28日 18時) (レス) @page27 id: d76bc8bfcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャチ矛 | 作成日時:2022年5月17日 12時