正反対な兄妹 2【ヒプマイ】(簓妹主) (ページ3)

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51：自己憐憫を自覚ページ3

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『…お代、置いてくね』

吐息を飲んだ彼と長い沈黙に耐えきれず、財布から少し多めにお金を出した

きっと、色々言いたかったんだろう

何で居たのか、何もしなかったのか、逃げたのか

でも、彼から発せられる言葉は無かった

いっそ臆病者と罵って欲しかった

あのボロボロだった彼の背中を思い出す度に罪悪感が押し寄せる

『私、もう行くね…もう、会わない様にする、から…何も、できなくてごめんね、』

彼は優しいからきっと何も言わないのだろう…それにつけ込む様に話す私は汚い

大丈夫だ、わかったと承諾するだろうと分かって発言をする

兄と違って好かれない理由はきっとココにある

なるべく視界に入らない様に俯き、席を立って軽くお辞儀をしようとすれば…

「…何でだよ」

少し低い声で呟かれた言葉に思わず体が硬直した…今まで聞いた事がなかった声

「あんた、何も悪くねぇのに…んでそんなに謝ってんだよ」

『み、見捨てたんだよ…わかってて、見てて何もしてなかったんだよ？』

「違う」

『…何、が？』

店内だから大きな声が出せない状況、感情を抑えて話さなければならない中で彼は静かに話す

「それは…あんたの所為じゃない。仕込んだのは中王区で、俺が左馬刻と決別したのも俺の決断だ」

『…、ぁ』

「あんたは⎯⎯⎯」

………あ、

そっか…私…

「⎯⎯⎯関係ない」

＂勘違い＂してたんだ

そうだ…そうじゃん、私は部外者

なのに、何で自分が入り込んで考えてるの？

彼らの中に私なんか…居るはずがない

勝手に哀れんで、勝手に自分が出来なかったと嘆いて、勝手に独り善がりで動いて…その上、彼らの為とか自分の為とか理由をつけて

逃げる以前に、私…無関係なんだ

ただの雑用だったのに、兄のオマケ…なんで、忘れてたんだろう

自意識過剰だった思考に羞恥が込み上げると同時に自分への酷い嫌悪感に耐えきれず、息苦しい胸元を握り締めた

悲劇のヒロインみたいに気取った、ただの馬鹿女

もう、これ以上…馬鹿な事を口にする前に、早く…早く

「だから…、Aさん？」

『ご、め…なさい、めんなさ…っ、』

嗚咽しそうになり乍全ての事に対して謝罪の言葉を述べたと同時に走って店の外へと逃げた

後ろから聞こえる彼の声に聞こえないフリをして目的もないままただただ走った

惨めな自分の影を切り離してしまいたい程に

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