青⌇お揃い ページ3
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「ねぇしょーたも手伝って」
「やだ俺今動けねぇもん」
「扇風機独り占めしないでってば!こっちまで風届かない!」
「手持ち扇風機使えばいいじゃん」
「今洗い物してるの見て?」
そんなしょうもない痴話喧嘩をしながら皿を洗う。キンキンの水で泡を流すのが心地良い季節だけれど、どうにも拭く作業だけは、いつまで経っても好きになれない。
「お願い、アイス奢るから…」
はっと気づいた時、もうそれは口から出てしまった後だった。さっきとは打って変わってキラッキラの目で見つめてくる彼。
「えまじで?!ほんとに?」
「あぁもー今日だけね」
「やる気でたわ」
ガバッと起き上がって作業を始める姿に、単純だな と心の中で苦笑した。通るようになった扇風機の風が微かに前髪を揺らしている。
「なに食べよっかなぁ、お高いやつにしちゃおっかな」
「やだ取り消したいんだけど」
「言ったのAだからこれはだめとか無しね」
「はぁ悔しい…もう自分の分も買お…」
思わず言ってしまった言葉に後悔するが、過ぎたことを悔やんでもしょうがない。とりあえず今はキッチンを片付けることだけに集中して全部ささっと終わらせてしまおう。
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作者名:みもざ | 作成日時:2023年7月10日 22時