おねえさん ページ26
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「__雨、降ってきたね」
「…カントクに暖めてもらいたい」
『それ軽く変態発言だろ。…強くなりそうだし、ちょっと雨宿りしていくか』
突然降ってきた雨は、次第に強さを増していく。
丁度知り合いの店が近くにあるし、せっかくだから寄っていくか。
「着いてこい」とだけ言って、少し裏道に入った店のドアに手をかける。
「こ、ここは大人の人のお店じゃ…?」
『夜はバーだけど日が出てるうちはカフェやってんだよ』
「アンタの知り合い…?」
『そう。ここのオーナー』
軽く雨粒を払ってから扉を開くと、長身で黒髪のやつが俺を見て微笑んだ。
「あら、Aちゃん久しぶりじゃない」
「き、綺麗な女性ですね…」
「彼女紹介したかっただけか」
「ま、真澄くん…!」
『こんな彼女は嫌だ』
細身でスタイルも良く、化粧で化かした顔は…まあ綺麗だ。
絶対言わねえけど。
『こいつ男だから』
「「え」」
「ふふっ♪ Aちゃんがお世話になってる子たちね?」
『俺の話はいいから、何か食べ物作ってくれよ』
「はいはい」
固まった2人をスルーして、出された温かい紅茶を飲む。
あー旨い。
「あの…どういう関係なの?」
『アイツ…大沢千春っていうヤツなんだけど。千春は前の高校で同じクラスでさ、俺の唯一の友達』
「高校卒業してすぐここで働いてるってこと? 凄いなぁ」
「私のお父さんがバーを経営してるから、昼間は好きにやらせてもらってるのよ」
「…女装する理由は?」
『それは俺も知らん』
気づいたら女になってたんだよな。
聞いても「秘密💛」って誤魔化すから、聞いちゃいけないんだと勝手に思ってたけど。
「Aさん、女装は大丈夫なんだね!」
『…女装は?』
「あっ」
「…バカ」
2人して「しまった」って顔をした。
なるほど…俺を探しに来たのも万里の差し金だな。
『俺が女が苦手だって、聞いたのか』
「ごめんなさい…。返りに一緒に帰ろうと思って教室へ行ったら、Aさんがいなかったので…」
「万里に理由を聞いたんだ。…秘密って言われたけど」
それで空気を読んで万里は別で帰ったということか。
…ふーん。
『…。』
「ご、ごめんなさい」
「咲也、謝り過ぎ」
「そうよ。コイツが何も言わないのが悪いんだから。はい、ホットサンド。温かいうちに食べてね」
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あーか(プロフ) - 続き楽しみにしてます。 (2020年4月3日 17時) (レス) id: 460cee1a24 (このIDを非表示/違反報告)
哲弥 - あの…もう終わりですか? 俺楽しみにしてるんで、頑張ってください! (2019年6月6日 17時) (レス) id: 9dda0ba0f7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます!精一杯書かせていただきます! (2017年9月6日 21時) (レス) id: 77b318de68 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - サカナさん» ありがたいお言葉…励みになります!ありがとうございます! (2017年9月6日 21時) (レス) id: 77b318de68 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 続きとっても楽しみです!頑張ってください! (2017年9月6日 18時) (レス) id: 9dcf28c287 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2017年6月7日 22時