じーさん ページ19
■■
祝日の昼間は日向ぼっこに最適だよな。
中庭の草の上で密とごろごろしていると、不思議な顔をした監督さんが俺を見つけて声を掛けた。
「Aくんにお客さんが来てるよ!」
『俺に? 密ー…は、寝てるな』
すぅすぅと寝息を立てている密を起こすのも悪いな。
静かに立ち上がって監督さんについて行くと、どうやらそのお客さんは談話室に通されているようだ。
『お客さんはー…?』
「わしだ」
『あんた…頑固じーさん! 何でここにいんの?!』
「仕事の依頼に決まっとるだろう」
相変わらず眉間にしわを寄せて話す頑固じーさん(名前は覚えてない)
皆「誰?」って顔してるけど…できればバレたくなかったなぁ。
「Aのおじいさん?」
『違う違う。仕事のって言ってたろ、知り合いって程度だよ』
「仕事…ってAさん高校生っスよね?」
『金は発生してないから、厳密には仕事ってことにならないんだけどさ』
どう見ても「気になってます!」って顔してる。
はぁ、話すか。
『…家具作ってんだよ』
「家具?!」
「予想の斜め上過ぎて…」
「ばあさんがあのタンスを気に入ってな。本棚も頼む」
「タンス作れるのか?!」
こうなると思ったんだよな。
まあ器用そうな顔してる自覚はないけど。
スマホを出してメモ帳を開く。
『あーサイズは?』
「そんなに大きくなくていい」
『色とか素材の指定はあるか?』
「ない。ただ、洋室に合うように頼む」
大体のイメージを頭に浮かべて見る。
あんまり重くない方がいいよな、倒れても困るし。
『うし、来週には完成させるから。じーさんの家教えて』
「ああ…頼んだぞ」
「業者っぽいな」
「慣れてるみたいですね」
「俺も頼もう」という声が聞こえてきたけど、無視無視。
…ここの全員に頼まれたらいくら時間があっても足りないからな。
「家具を作れるなんて知らなかった! いつから始めたの?」
『…まぁ、』
「…。もちろん、俺の分も作ってくれるだろ? ゲームする時のちょうどいい椅子を探してたんだよなぁ」
「万ちゃんだけはズルいっス! 俺も欲しい!」
さりげなく話を逸らしてくれたんだろうか。
ちょっとムカつくけど…助かったよ、万里。
___
633人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーか(プロフ) - 続き楽しみにしてます。 (2020年4月3日 17時) (レス) id: 460cee1a24 (このIDを非表示/違反報告)
哲弥 - あの…もう終わりですか? 俺楽しみにしてるんで、頑張ってください! (2019年6月6日 17時) (レス) id: 9dda0ba0f7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます!精一杯書かせていただきます! (2017年9月6日 21時) (レス) id: 77b318de68 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - サカナさん» ありがたいお言葉…励みになります!ありがとうございます! (2017年9月6日 21時) (レス) id: 77b318de68 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 続きとっても楽しみです!頑張ってください! (2017年9月6日 18時) (レス) id: 9dcf28c287 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ノア | 作成日時:2017年6月7日 22時