８７色 ページ39
＿＿＿
「じゃ、私はもう行くわ。もう必要なさそうだし」
『あの、師匠』
「…なによ」
悪者として扱われてた師匠は居心地が悪くなってしまったみたいだ。
そそくさと出て行こうとする師匠の服の袖を掴むと、顔は背けたまま立ち止まってくれた。
『…ボクは師匠を悪者だなんて、思いません。誰でも、間違うことはあると思う、から』
「フォローのつもり？ それとも嫌味かしら」
『ボクの師匠は、これから先も貴女だけです。こうなってしまった今でも、尊敬している思いは、変わりません』
誰がどう言おうと、住む場所の無くなったボクに生きる術をくれたのは他でもない師匠だ。
その恩は一生忘れることはないし、いくら感謝しても足りない。
そのことを師匠にはわかって欲しい。
『…覚えていますか？ 弟子入りした初日に、言った言葉』
「…「絶対に師匠を超えてみせます」そう言ってたわね」
『はい。…師匠より上手くなって、師匠より立派に生きてみせます。だから＿＿』
『＿＿絶対に、帰ってきてくださいね！』
〜〜〜
「Aちゃん、これ忘れ物！」
「おい、こっちに鉛筆転がってたぞ」
「A、それはボクのだよ」
『わ、ごめんなさい…！』
ＭＡＮＫＡＩ寮にて、騒がしい朝。
その原因になっているボクは、大慌てで寮の中を行ったり来たりしていた。
「バス来たから準備できた人から乗って！」
「はいっス！！」
バスに乗り込んだ後、１時間ほどで着いたのは空港。
休日ということもあり、多くの人で賑わっている。
色々と手続きを済ませた後、そわそわしているみんなの元へ向かった。
「とうとう、か」
「寂しくなるな…」
『…そう、ですね』
皆との別れを惜しみながら、師匠からの手紙を開く。
「正直アンタのことはどうでもいいけど。どうしても絵が上手くなりたいって言うのなら、この人を尋ねなさい。後は好き勝手やるといいわ」
乱暴に書かれた手紙は数日前に届いたものだ。
そうしてボクは、単身海外に留学することになった。
「待ってるぞ。…Aがいなくなると、部屋が広くなったようで落ち付かん」
「また一緒に、お昼寝しよう」
「オシャレも学んできなよ」
『…うん。いってきます』
若干涙声になりながら、笑顔でみんなに手を振った。
修行の期間は５年。それまでは、彼らとお別れだ。
夢を叶えるために。強くなるために。
『…いってきます！』
＿＿＿
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ノア(プロフ) - ミモさん» ああっ！ご指摘ありがとうございますm(_ _)m全力で書かせていただきます！ (2017年6月26日 23時) (
レス) id: f8f287b969 (このIDを非表示/違反報告)
ミモ(プロフ) - 87話の｢僕は師匠を悪者だなんて…｣の師匠が支障になっていますよ〜後日談楽しみにしています。 (2017年6月26日 23時) (携帯から) (レス) id: 0c3426b0a6 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 名無しさんさん» ご指摘ありがとうございます！お恥ずかしい限りで…すみません (2017年6月1日 21時) (レス) id: 77b318de68 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - 61話の枯れるまで泣いた、が狩れるまで泣いたになってますよ！ (2017年6月1日 18時) (レス) id: e4c2591ddb (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 真樹RAINBOWさん» お祝いに応援の言葉ありがとうございます！とても励みになります。夢主ちゃんを好きになっていただけなんて、書き手冥利に尽きます！素敵な言葉ですよね…共感していだただけて嬉しいです！ (2017年5月29日 21時) (レス) id: 77b318de68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2017年5月17日 19時
