25. ページ15
side 紫
・
侯くんが連れていかれた。
車に乗せられて、無理矢理。
章大が泣きながら俺に説明をしていた。
俺は章大や、すばる達、…そして、侯にも謝ることしかできなかった。
____________
あの日、スーパーに買い物に来ていた俺は見てしまっていた。侯が親と会っているところを。
侯は車に乗せられ、どこかに向かうようだった。
両親と楽しそうに笑っていた。
その時は、驚きすぎて声をかけることすら出来なかった。
気がついたら家にいて、洗濯物を取り込んでいた。
…習慣がおそろしい。
でもそのお陰で誰にも怪しまれずにすんでいた。
…なんで俺があいつの両親の顔を知っているのかというと、…まぁ、調べていたから。
侯と出会ってすぐ、情が移らないうちになんとか自分の元からいなくなって欲しくて、必死で探して、やっと見つけた時には母親は、再婚していた。
それでも、侯はいる。という報告をするべきだったのかもしれない。…それで侯が母親の元へ行くことになっても。
でも探すのに手間も時間も、かかってしまったからか、俺は侯のことを手放せなくなっていた。
可愛くて、自分の元に置いておきたくて、侯が少しずつ成長していく姿を見るのが楽しみになっていってしまったのだ。
俺は、侯を母親の元へ返さなかった。
いや、返せなかったんだ。
小さい侯の手が俺の手をしっかりと握るのも、コケても泣くまいと我慢していたのも、おやつが大好きなものだった時のあの顔も、全部、全部、全部、愛おしくなってしまっていたから。
だから、俺は侯が両親の車に乗り込んでどこかへ向かっても、責める権利もないし、むしろ俺が責められてもいいくらいだった。侯が両親と会えなかったのは俺が会わせようとしなかったからだから。
でも何食わぬ顔で侯が家に帰ってくると心底ほっとした。
あぁ、よかった。戻ってきてくれた
と。
…そして、少しの嫉妬も。
何も話してくれない侯への小さな、怒りも。
だから、俺は謝るしかなかった。
もしかしたら、侯は望んで行ったのかもしれないなんて、言えなくて、認めたくなくて。
でも俺は止める権利なんかない。
子供にとって母親がどんなに特別な存在か、だなんて、俺が一番、痛いほどわかっているというのに。
それなのに俺は…侯のそばに居たいから、なんて自分の都合で母親と侯を引き裂いた。
これは、罰だ
そう思った。
みんな、ごめん、巻き込んでしまって。
侯、ごめん。
今まで縛り付けてしまって。
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よつば銀行(プロフ) - 初めの頃はまだ話が明るめだったのにここにきて話が暗くなり気持ちまで暗くなりそうです。 (2019年12月4日 23時) (携帯から) (
レス) id: 998ae028aa (このIDを非表示/違反報告)
Melody(プロフ) - はるさん» 楽しみにしています。更新頑張って下さい。 (2018年3月21日 22時) (レス) id: 9bd0e05f4d (このIDを非表示/違反報告)
黒雪アリス(プロフ) - はるさん» 頑張って下さい(*^-^*)楽しみに待ってます(*^_^*) (2018年1月28日 3時) (レス) id: 38a8dac152 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 黒雪 アリスさん» ありがとうございます(T_T)受験自体は終わったのですが色々と忙しくて…。でもこれからはなるべく更新するよう頑張ります！ (2017年12月25日 0時) (レス) id: 88ccfb9833 (このIDを非表示/違反報告)
黒雪 アリス - 更新待ってます!! 受験頑張って下さい!! (2017年12月23日 4時) (レス) id: 38a8dac152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はる | 作成日時：2017年11月4日 14時
