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「すみませーん。おじゃましまーす」
子供を二人連れた女性は、玄関へと上がる。
何度インタホーンを押しても反応がないのに、扉には鍵が掛けられていなかったからだ。
「先日仕事の依頼をした者なんですがー」
声をかけても音沙汰もない廊下。
恐る恐る居間に向かい、扉に手をかけ開ける。
中に入ると目に入ったのは、少年少女達だった。
「おいおい」
「!!」
薄暗い部屋に窓から入る太陽の光が社長椅子に座り、鼻をほじっていた少女を照らしていた。
「ノックもなしにズカズカ他人の家入り込んでくるたぁ、随分と不躾なお客さんだ」
「インタホーン押してたよ」
「何度も押してた」
「何の用だぃ?
万事屋グラちゃんたぁ、俺のことアル」
身体中から汗が止まらない。
新八も喜杏も色んな意味で心配なのだ。それは銀時も同様に掛け布団を引っ張りながら、和室から様子を見ている。
一先ず、銀時が何時もやっているように内容を詳しく聞きだすことにした。
神楽一人に任せられない。
神楽が銀時の服を着ている間に銀時に注意深く言われた。
"あいつ一人に任せるな"と。
「え、えっと……。浮気調査の件ですよね?
御主人に浮気をしている疑いがあると」
「そうなの。間違いないのよ」
依頼人が主人の浮気を勘づいている理由は二つ。
一つは、毎晩帰宅するのが遅いこと。
二つ目は、着物から女物の香水の匂いがすること。
「可能性がないわけではない……」
「確かにね、これだけ聞いてると黒って感じがするよ」
すると、今まで黙っていた神楽が机に足を置きながら怠そうに口を開いた。
「奥さん。それだけの証拠じゃ浮気とは断定できないアルなー。
多いんですよー。被害妄想というか悲劇のヒロイン気取りというかー。
奥さんのような輩がね、思い込みじゃないアルか」
「「ちょっと、ちょっと」」
銀時の雰囲気そっくりではあるが、依頼人の前ではその態度はしないが。
「ぱっつあん、どうにも俺ァ気乗りしねぇアル。
パフェ食いに行っていいかぃ?」
銀時の雰囲気は本当に瓜二つである。
「ちょっと!!電話で引き受けてくれたじゃないの!!」
「気に食わねぇんだヨ」
一段と低くなった声に周りは静寂に包まれた。
「子供達の前で平気で父ちゃんの悪口言うなんざ。
あんたにとっちゃ碌でもない旦那でも、
こいつらにとっちゃ、大事な父ちゃんアルぜ」
新八と喜杏に衝撃が走った。
漸く半分以上進んで説教モードに入った小さな銀時がいる。
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月見ソウ(プロフ) - 真代さん» 真代さんお久しぶりです!祝ってくださってありがとうございます。柳生篇はギャグも多いのに考えさせられるお話ですよね。それを表現出来てるか不安ですが、楽しんで貰えたら嬉しいです。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2021年5月6日 12時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
真代(プロフ) - ください! (2021年5月6日 3時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
真代(プロフ) - 「貴方の傍に」シリーズ、一周年おめでとうございます!!物語は現在、柳生篇ですね。守りたいもの、取り返したいもののために、強敵と戦う話ですが、この戦いを通して、どう変わっていくのか、また、主人公はどうなっていくのか、楽しみにしてます。連載頑張って (2021年5月6日 3時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - みうしさん» コメントありがとうございます!1年も書いときながらまだ4巻なんで、申し訳ないです。嬉しく思ってくれること、本当にありがとうございます。今のうちに話を更新していきたいと思ってますのでよろしくお願いします。 (2021年4月28日 17時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
みうし(プロフ) - 一周年おめでとうございます!一年間も書き続けてくださっている月見ソウ様には感謝の気持ちでいっぱいです。この作品が更新される度に嬉しくなっています…wこれからの話の展開も楽しみです。更新陰ながら応援しております! (2021年4月28日 0時) (レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2020年12月11日 23時