12.使い方 ページ13
-相澤side-
相「…包丁、が怖い？」
陽ちゃんはコクリと頷いた
そして左手を右手で抑え込むように握っていた
前に一度、その仕草を見た覚えがある
その日は酷い天気で雷が絶えず鳴っていて、ビリビリと病室に音が響いていた
陽ちゃんはずっと不安げな顔をして身体を縮めこみ左手を握っていた
怖いとは一言も口に出さなかったが耐えていたのだろう
今も、きっと
相「陽ちゃんの思ってること教えて欲しいな。もう我慢しなくていいんだよ。大丈夫」
『ぁ……えっと、お、思い出し、ちゃって
怖くなって、何もしてないのに、手痛くなっちゃったの』
そう言うと陽ちゃんは心底申し訳なさそうな顔をする
そんな顔をさせたい訳じゃないんだが…
相「陽ちゃん」
ビクッと顔をあげた
怒られると思っているのだろうか
なら、これ以上怖がらせないように慎重に
相「兄ちゃん今、困ってないよ。
陽ちゃんが素直に気持ちを教えてくれて嬉しいんだ」
『ほ…ほんと…？』
相「ホント。困った時はちゃんと言うよ。
…あと、陽ちゃんの中で気持ちの整理がつかなくて怖くてもいい。
けどね、包丁って自分や他の人とかにご飯を作るものなんだ。
怖くて、鋭くて、危ないかもしれないけど、誰かを思って使えばおいしい料理ができる。
使い方で道具は危ないにも便利にもなるんだ」
『…つかいかた』
相「嫌な思いを誰も…自分も、しないようにね」
『そっか。……わかった』
相「よし。
じゃ、ご飯食べよっか。手洗っておいで」
──────
『おいしーね』
相「そりゃ良かった」
『そうだ。消太お兄ちゃんはどんなこと思ってお料理したの？』
相「え、あぁ。
陽ちゃんが元気で大きくなれる栄養をいっぱい取ってくれたらいいなーって」
『…』
そういやピーマン、露骨に残ってるな
あ、食べた
『…にがい』
相「ふはっ、よく頑張りました」
すげぇ顔するなあ
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文旦(プロフ) - お騒がせしております。文旦です。もうほんとに大変申し訳ない。何してんだと思いました。すいません。応援してくださっている皆さんありがとうございます。これからもどうかこんな作者を応援よろしくお願いします。 (2022年8月16日 4時) (
レス) id: bf8e4c0879 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：文旦 | 作成日時：2022年8月16日 3時
