sin,7 ページ8
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私達の間に流れた微妙な空気を壊すように、ピチャリと頭に雫が落ちた。それは、狸の元にも落ちる。
「に"ゃッ!つめてっ!天井から雨漏りしてやがるんだゾ」
『うわ、凄いな……バケツ、探してこないと』
「何言ってんだゾ?こんなの、魔法でパパーッと……って、オマエ、魔法が使えねぇのか。ブフーッ、使えねぇヤツだゾ」
馬鹿にしたように笑う狸にイラッとしてじゃあ手伝ってよ、と睨みつける。狸は私の言葉にキョトンとた顔をした。
「なんで、オレ様が手伝わないといけないんだゾ?オレ様はただ、雨宿りしている他モンスターなんだゾ。ツナ缶もないのに、タダ働きなんて嫌なんだゾ!」
『……そ、じゃあいいよ』
(やっぱり、人じゃないモノと関わるなんてろくなことがない)
モンスターと私の視てきたヤツらは違うのかも、と思ったが間違いだった。結局、コイツらは自己中心的で自分勝手。期待した私が馬鹿なのだ。
狸をおいて、私は廊下へと出た。なのに、
『なんでいるの?』
「ふ、フン!別に、ただオレ様もこっち用があってきたんだゾ」
わからない。手伝わないと言ったくせに、後ろからついてくるコイツが。イライラして振り切るように早足で歩いていると、物音がした。
「イーヒッヒッ」
「久しぶりのお客様だぁ〜」
(あぁ、最悪だ)
薄暗い廊下に現れたのは西洋映画でよく見るゴースト達。ふわふわ浮かぶそいつらは、私を見て嬉しそうに笑っている。
「オマエ、早過ぎなんだゾ!……って、ギャーー!!おおお……お化けぇぇぇ!!」
後を追ってきた、狸が絶叫の声をあげた。ーー視えるんだ。
「俺達はずーっとゴースト仲間が欲しかったんだ。お前さん、どうだい?」
『あ、大丈夫です。間に合ってますんで』
「な、なんでオマエそんな冷静なんだゾ?!可笑しいんだゾ」
『へぇ?お化け、怖いんだ』
狸は私を変な生き物でも見るかのような顔をしているが……私からすれば、まだ可愛い方だ。内蔵も脳ミソも飛び出していないければ、体の半分が焼け爛れているわけてもない。
「なっ!だ、大魔法士グリム様はお化けなんか怖くないんだゾ!!」
私の言葉にムキになったのか、狸が炎を出した。けれど、ゴースト達はヒラヒラとそれを避けていく。
「クッソ!出たり消えたりするんじゃねぇ!!」
『ちょっと?!このままじゃ火事になるでしょーが!!』
「知るか!オレ様に指図するんじゃねー!!」
私の中で、何かがキレる音がした。
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2020年4月24日 13時