花弁がむっつ ページ7
◆◇
なんで、こんなことしなくちゃいけないんだろう。
キン、キンと鉄と鉄が触れ合う音が耳をかすめながらぼんやりと思った。
確かに拾ってくれて、住まわせてくれたことには恩を感じている。
だから、言いつけも守って迷惑もかけないようにしてきた。
でも、それとこれとは話が別だ。
私はこの世界にきたとわかった時1つ、心に決めた。
平穏に、普通に生きる。
鬼がいるこの世の中では難しいかもしれない。
だから、自分の身は最低限守るために稽古は真剣にやっていた。
『私はっ!平穏に!暮らしたいだけなのに!!』
華咲さんは私の言葉に一瞬だけ、顔を歪めた。
気にせず、打ち込んでいく。
攻撃が当たらないことに、イライラが募っていく。
そのイライラを吐き出すように、頭をリセットするために息を深く吸う。
フゥっと吐き出した共に、突然体がふっと軽くなった。昨日と同じだ。華咲さんに1発入れた時と同じ感覚。
また、全身がここだと叫んでいた。
でも昨日とは確実に違う。体が熱いのだ。燃えそうな程に。
軽くなった体を前に進め、その感覚に身を任せるように刀を振り上げる。
____生の呼吸 壱ノ型 鏡花水月
生の呼吸なんて知らない。原作になかった呼吸だ。だけど、自然とできた。
まるで、昔から知っていたかのように。
華咲さんは驚いたように一瞬目を見開くと、剣を振り上げた。
攻撃しないって言ったのに!
避けおうと思ったが、必要がなかった。
華咲さんの剣は私がいる所とは全く逆の方向に振り下ろされていたから。
私のこと、見えてない?
まるで私が見えていないかのような行動に、動揺したがいけると思った。
もう一度地面を蹴り、首を狙う。
大丈夫だろうか?
確かに殺す気でこい、と華咲さんは言っていた。
でも怪我をさせてしまったら?
怪我、したらいくら華咲さんだって痛いよねもしかして死ぬかもしれない。
気づいた時には、私の刃は華咲さんの首のギリギリにあった。あと数ミリ近づければ、首を貫くだろう。
『はぁはぁ……私の勝ち、ですよね?』
「……あぁ、あんたの勝ちだ」
やったぁと叫ぼうと思ったが、ぐるりと視界が反転した。
喉から上手く息が吐き出せず、苦しい。
朦朧とする意識の中で華咲さんは、
「頑張ったね、ゆっくりお休み」
会った時と変わらない優しい声で、とても悲しい顔をしていた。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時