花弁がさんじゅう ページ36
◆◇
『はー疲れたぁぁ……っ』
あれから、宇髄さんは手馴れたように藤の家の人にあれこれ頼み色々用意してもらっていた。
私はといえば、暖かいお布団という名の恋人に抱きしめられている最中である。
『あー、私布団と結婚しようかな』
あまりにも気持ちよすぎて、ガチでそう考えていた時
「大丈夫?Aちゃん」
頭上から、雛鶴さんの声が聞こえた。顔を上げれば、須磨さんとまきをさんもいた。
ちなみに、部屋はこの嫁三人衆と私は同じらしい。
3人ともお風呂に入ったばかりなのか、髪が濡れていて色気が凄まじかった。
『なんとか……明日もこんなに走るんですか?』
「えぇ、明日はもっと険しい山を登ると思うわ」
『う、嘘でしょ……』
今日でもかなり、精神面でも体力面でも死にかけたというのに。
項垂れる私を慰めるように須磨さんが背中を撫でてくれる。
「天元様は、確かにちょっと厳しいところはあるかもしれないけど……とっても優しい方なのよ」
だから、嫌わないでね。と雛鶴さんが、穏やかに笑いかけてくれる。
『宇髄さんが仲間思いで、優しいのは見てれば何となくわかります』
私の言葉に3人は、とても驚いたような顔をする。多分、私が宇髄さんのことを良く思っていないと思っていたのだろう。
実際、何度も後ろから参ノ型使ってやろうかとは思ったけども!
『ま、その優しさ私にちょーっとくらい分けてくれてもいいのでは?とは思いますけど!!』
「あはは!!あんた面白い奴だね!」
『え、私何か変なこと言いました?』
まきをさんが突然笑いだした。大正時代の人の笑いどころがわからない。
「天元様はとっても優しい方なのに、ハッキリ派手にものを言っちゃうから誤解されやすいんです」
須磨さんが少しだけ、悲しそうな顔をしていた。
確かに、ハッキリものを言い過ぎだとは思う。
オブラートに包むどころか、金属バットで殴られるくらいの威力だ。
「天元様はね、私達に生きろって言ってくれたの。それまで、私達には生きたいと思うことはいけないことだと教えられてきた」
雛鶴さんがとても嬉しそうに笑った。
まきをさんが昔を思い出すように、遠くを見てから続ける。
「天元様は、ハッキリ命の順序を決めててね。1番は私達。次は、堅気の人間たち。そして、最後に自分なんだって」
「天元様は自分の命を優先しないんです……だから、」
力になってあげてください、と須磨さんが私に頭を下げた。
はい、とは答えられなかった。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時