花弁がじゅうよん ページ16
◆◇
この汚い高音は、あの子しかいない。この時代には珍しい金髪を思い出しながら、声がした方に向かう。
……あ、いた。トリップ前の私が鬼滅の刃の世界でも特に好きだった人の1人、我妻善逸。
何故こんなにも冷静かというと、善逸の顔が凄いことになっているからである。
2人の鬼に囲まれ、恐怖で鼻水と涙で顔がぐしゃぐしゃになっている。
うーん、このまま放っておいても善逸は気絶すれば強いからなぁ。
その時、ふとこちらに視線を向けた善逸と目が合った。
「?!……あ、……」
助けて、と目で訴えられるかと思った。
でも、しなかった。善逸は私を見ると目を見開いてから逃げて、と口パクで言った。
大きな瞳には涙を浮かべて、顔は恐怖に満ちているくせに。
それでも、女の子を危険な目にあわせたくなかったのだろう。
……なんで、こうもかまぼこ組は馬鹿みたいに優しい奴ばっかりなんだろうか。
『ほんっと、炭治郎も君も心底損をする性格してるよね』
ため息代わりに、すぅっと深く息を吸い吐き出した。
地面を蹴り、善逸を囲んでいた鬼2人と瞬時に距離を縮める。
「なんだァ?!お前!!」
「オイオイ?!稀血じゃねーか!美味そうだなァ」
「だ、だめだよ……!逃げて」
いきなり目の前に来た私を見て、舌なめずりをした鬼と涙を更に溜めて止めようとする善逸。
大丈夫。これくらいの鬼、さっきの鬼に比べたら少しも死の恐怖を感じない。
___生の呼吸 弐ノ型 月下獸
スパッと私の刀が、鬼の首を裂いた。
ボロボロと鬼の首が崩れていくのを見届けてから、善逸に目をやる。
『君、大丈夫?』
カッコつけるのは許してほしい。推しの前ですし。
「あ、あ……」
『えっと……大丈夫?』
あ、しか言わない善逸に不安になって顔を覗き込もうとした時
「ありがとうぅぅぅ!結婚してください!!」
盛大なプロポーズと共に、かなりの強い力で抱きつかれた。
いや、待って。心臓がもたない。違う意味で死にそうなんだけど?!
『あの〜、大丈夫?その怪我とか……』
なんとか叫びそうになる衝動を抑えて、聞くと善逸は顔を真っ赤にして大丈夫!!と元気な返事をした。
「あの俺、我妻善逸って言います!!結婚してください!!」
……おっふ。炭治郎もこんな気持ちだったんだね。ごめんよ、炭治郎。
推しからのプロポーズは嬉しいけど、私は結婚する気はない。
結婚指輪より、死ぬ危険がなくて平和に住める場所が欲しいです。切実に。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時