花弁がろくじゅう ページ25
◇◆
「どう処分する。特に、そこの女は柱でもない……どう責任を取らせようか」
処分という言葉に肩を震わせ、怯える私を伊黒さんが木の上から見下ろす。ーーこの人、絶対楽しんでる!!
「まぁ、いいじゃないですか。大人しく着いてきてくれましたし。Aさんについては、後でゆっくり話をしましょう?それよりも、」
とりあえず、処分は免れたが安心出来ない。だって、しのぶさんが後で覚悟しといてくださいね、と言いたげにこちらを見て笑っているから。
「私は坊やの方から話を聞きたいですよ」
「……!!うっ、」
そこで、やっと炭治郎と目が合った。炭治郎は驚いた様な顔をすると、次の瞬間苦しそうに咳き込んだ。
「水を飲んだ方がいいですね。Aさん、これには鎮痛薬が入ってるので飲ませてあげてください」
しのぶさんがそう言って、水の入った瓢箪を私に渡した。とりあえず、放ってはおけないので言われるまま炭治郎の口元へとそれを持っていく。
「A!大丈夫か?」
『私は大丈夫』
喋れるようになった炭治郎がすぐさま、そう聞いてきた。まだ頭がぼうっとするが、大丈夫だろう。私が笑えば炭治郎は安心したのか、しのぶさん達へと目を向ける。
「……俺の妹は鬼になりました。だけど人を喰ったことはないんです」
炭治郎が話し出したのは禰豆子ちゃんのことだった。炭治郎の目は強い意志が宿っていて、柱に対しても臆することを知らないよう。
けれど、炭治郎の言葉は届かない。悲鳴嶼さんも伊黒さんもくだらないと言ったふうに聞き耳を持ってくれないのだ。
炭治郎は2人の態度に更に声を荒らげる。が、誰も信じない。否、信じられるわけない。
沈黙の空気が流れた時、恐る恐るといった風に蜜璃ちゃんが話し出した。お舘様に黙って処分してもいいのか、と。それに対して皆、一瞬迷った様な表情を見せた。
「妹は俺と一緒に戦えます!!それに、Aは関係ありません!」
『!!炭治郎……』
(本当に君は優しすぎるよ)
さっきの会話が聞こえていたのだろう。禰豆子ちゃんのことで、それどころじゃない筈なのに私まで庇うなんて。
「オイオイ何だか面白いことになってるなァ」
何か言わなきゃ、と開きかけた口が低い声によって固まった。威圧をたっぷりと含んだその声はまさしく、
「鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかィ」
風柱である、不死川実弥さんのもの。不死川さんのハイライトのない瞳が炭治郎を捉えた。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時