花弁がごじゅうなな ページ22
◇◆
『し、しのぶさん』
「先程ぶりですね、Aさん」
私が名前を呼ぶと、しのぶさんは女神のような笑顔を浮かべてくれた。けれど、次の瞬間可愛い瞳は私の前にいる冨岡さんへと向く。
「それはそうと冨岡さん……鬼とは仲良くできないって言ってたくせに何なんでしょうか」
笑顔のままだが、私に向けてくれた時よりも心做しか目が笑っていない。
「そんなんだからみんなに嫌われるんですよ」
そして、笑いながら中々エグいことを言った。しのぶさんは、自身の持つ刀の刃を冨岡さんへ向けている。
「俺は嫌われていない」
冨岡さんと言えば、表情を崩した様子もなく答えた。ーーいや、そこじゃないよ!?冨岡さん!!
私も炭治郎も、勿論しのぶさんもまさかそこを反論されるとは思ってなくて少し唖然とする。
「あぁそれ…すみません。嫌われている自覚が無かったんですね。余計なことを言ってしまって申し訳ないです」
(もう辞めてあげてしのぶさん!!)
自分が言われた訳では無いが、隣で聞いていてメンタルが抉られてきたのだ。
そんな私を見てしのぶさんは少し笑うと、炭治郎を坊や、と可愛い声で呼んだ。
「坊やが庇っているのは鬼ですよ。危ないですから離れてください」
「ちっ…!!違います!いや違わないけど…あの妹なんです!!俺の妹で、それで」
「まぁ、そうなのですか可哀想に。では」
しのぶさんの持つ、綺麗な刀身が月に照らされキラリと輝く。
「苦しまないよう優しい毒で殺してあげましょうね」
しのぶさんの言葉に体がカチリと固まった。ーー漫画で知ってたけど、い、威圧が半端ない!!
「動けるか。……動けなくても根性で動け。妹を連れて逃げろ」
「!!冨岡さん……すみません。ありがとうございます!!A、行こう!」
炭治郎に手を引かれ、困った。ーーえ、いや、これ、どうしたら?
「坊や、Aさんを巻き込むのは辞めてください。Aさんそれは残念ながら鬼なんです」
「……あ、」
しのぶさんがスっと目を細め、炭治郎を睨んだ。炭治郎もしのぶさんも私が今まで、鬼だと分からず庇っていたと思っているんだろう。
炭治郎は顔を青くすると、握った手の力を緩めた。助けを求め冨岡さんの方を見れば、
「神羅、そいつらを頼む」
そう言われてしまった。ーーあぁ!!もう!!
『すみませんしのぶさん!!炭治郎行くよ!!』
「!!Aさん」
今度は、私が炭治郎の手を引きしのぶさんの声を無視して走った。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時