花弁がよんじゅうなな ページ11
◇◆
「っ!A!!俺に掴まれ!」
地面の高さにビビっていると、炭治郎に腕を引かれた。
パニックの頭を必死に動かして、言う通りに炭治郎の羽織をぎゅっと握る。炭治郎が左腕で私を抱えるように、添える。
『た、炭治郎さーん?何する気、』
「片手だと不安定になる!!Aのこと気遣えないかもしれないからちゃんと掴まっててくれ!!」
私の言葉を遮るように炭治郎が叫んだ。どんどん近づく地面に恐怖が限界を超え、炭治郎にさらに強く掴まる。
炭治郎が刀を地面に向かって振り上げる。
__水の呼吸 弐ノ型!! 水車!!
炭治郎と私の体が地面に直撃するスレスレでふわりと回る。投げ出された私達の体は木にぶつかり、ドンッと衝撃の後止まった。
「うぐっ!!」
炭治郎の鈍い声が頭上から聞こえる。慌てて、離れて炭治郎と向き合う。
『大丈夫!?』
「平気だ!!Aは大丈夫か!?ごめんな!無茶な着地をしてしまって」
『っ、馬鹿』
ぶつかる直前、私の体を庇って自分が木と私の間に入ったのなんて気づいてる。勿論、その時に手を怪我したのも。
(気遣える余裕ないとか言ったくせに)
本来なら、炭治郎1人が飛ばされていた。私がいた所為で炭治郎は原作にない怪我を負った。
漫画の中の自己犠牲の塊のような彼を見て、いつも心配になっていたことをふと思い出した。
再びそれを目の前にしてみて心配より恐怖と怒りが溢れる。
恐怖は、彼がこのまま自己犠牲を続けいつか取り返しのつかなくなることに。怒りは役に立たず、怪我をさせてしまった自分へ。
もしかしたら、君の命より大事な妹が怪我をしたかもしれないのに。だから、思わず口から出た言葉の八割は私自身にあてたものだった。
けれど、炭治郎は私の言葉に目を大きく開いた。
「ご、ごめん……なんで、Aがそんなに怒っているのか俺には分からないんだ。教えてくれないか?」
(こんな状況でも君は、私を心配して私の言葉を聞いてくれようとしてくれるんだね)
『ねぇ、炭治郎。ほんとに危ない時は自分の命を最優先に考えてね』
「それは無理だ!!」
私の言葉に即答する炭治郎。真っ直ぐなその瞳から、目を逸らした。
(あぁ、なんてずるい)
私が守るから、とも言えないくせに。
君がそんなこと出来ないと知っているくせに。
自分を満足させる為、わざと聞いた。自己中心的な私が、その綺麗な瞳には酷く汚く映った気がしたんだ。
2878人がお気に入り
「鬼滅の刃」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時