Pure Love 【F.Ryusei】 (ページ37)

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Episode36 ページ37

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『アンカー走る人がいなくなっちゃった』

佐奈からのその言葉を聞いて驚いた。

事情を聞くと、アンカーを走るはずだった陸上部くんがついさっき体調を崩してしまったんだとか。

きっと私と入れ替わりになってしまったから出会わなかったんだろう。

『うっちー仕事あるっぽいし、他の人は出たくないって言うしどうしよう』

そりゃ誰だってアンカーを走りたいって人はいないだろうな。

『深田とか走ってくれないかな？』

確かに、深田くんなら走ってくれそう。
もともと来るかもわからなかったんだから仕事なんてあるわけないし。

それなのに肝心の深田くんがいない。

『とりあえず深田に声かけてみるか。とりあえず私は湧たちに知らせてくるから、Aは深田探して説得してきて』

「でも」

『喋るチャンスだと思え！』

そう言って佐奈は走っていってしまった。

でもこれは逃げられないし、もし時間までに深田くんを出会えなかったら。説得できなかったら。
私のクラスは棄権になるかもしれない。
それだけは絶対に避けたい。

とりあえず深田くんを探さないと。

「あっくろちゃん！」

『Aどした？』

ナイスタイミングで現れてくれたくろちゃん。

「深田くん探してるんだけど見かけてない？」

『何？このタイミングで愛の告白ですか？笑』

ニヤニヤしてないで早く答えてよ

「こんな時にしないわ！早く！時間ないの！」

『さっきまで一緒にいたけど…』

「どこで別れた？どっち行った？」

『本部テントの方行ったけど。本当にどうしちゃったの？』

「時間がないの！事情はまた今度話す。ありがと」

とりあえず情報を入手したので、言われた通りの場所に走る。

本部テントについて深田くんの姿を探すとリレーを観戦するための場所取りを同じ部活の子達としていたみたいだ。

「いたっ！深田くん！」

『あれっ？A』

さっきまで気まずいとか思ってたけどもうそんなの関係ない。

「実は…」

事情を話すと快く了承してくれた。
周りを見るとニヤニヤしているサッカー部の人が何人かいて何だろう？と不思議に思う。

『お前らニヤニヤすんな。よしっA行こ』

そう言って走り出す深田くんの後ろをついて行く。

時間的にはもうそろそろリレーが始まる予定なので、なぜか入場口までお見送りをしてテントまで戻った。

何とか時間には間に合ってよかった。