Pure Love 【F.Ryusei】 (ページ13)

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Episode12 ページ13

〜〜〜

えっ！？
今深田くん私のことなんて呼んだ？

深田くんの方を見ると『どうしたの？』というような顔をしている。

「今、深田くんなんて？」

『ん？今日からよろしくねって』

「その後」

『A？』

「それ！」

それだよそれ！つい数分前まで音海さんだったじゃん。

『湧くんとかうっちーくんが呼んでるから俺もいいかなって…ダメだった？』

「だめじゃないです。」

『そ、なら良かった！』

そう言うと深田くんはニコニコしながら今日の授業準備に取り掛かり始めた。

何？
ドキドキしてるのって私だけ？
湧やうっちーに呼ばれるAとは何かがちがかった。

その日はずっとそのことで頭がいっぱいで授業なんて上の空…になるはずだったのに。

「キャー！」

これは5時間目のみんなが睡魔と戦っている時間。
私の悲鳴が教室中に響いた。

『音海どうしたー？』

授業が一時中断し先生に何事だと聞かれる。
周りのみんなもこっち見てるし…

「いえ、なんでもないです」

私がそう伝えると『集中して聞けよー』なんて言って授業は再開される。

でも今私はそれどころじゃない。

先生が板書のためみんなに背を向けたタイミングで深田くんが『どうした？』と声をかけてくる。

私が叫んだ原因に指をさすと『おぉっ』と深田くんも声を上げるが辛うじて先生には聞こえてなかったみたい。

そう、私が指差す先にはそこそこでっかめの虫。

『もしかしてA虫ダメな感じ？』

そうニヤニヤして聞いてくる深田くん。

「そうだけど、なんかバカにしてる？」

そう聞くと

『いや〜？』

なんて言っていつの間にか深田くんの直ぐ側まで来ていた虫を素手で掴み私の方に向けてきた。
その反動で深田くんの腕を軽く叩いてしまう。

「バカなの！？」

『いてっ、そんなに雑に俺のこと扱わなくてもいいじゃん！』

それは申し訳ないけど…なんて思いながら小声で言い合いをしていると前に座っている檜山くんがキッと後ろの深田くんを睨んでいる。

『ほら、檜山くんにまで睨まれたじゃん』

なんてしょぼんとしている。