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「会えたからって……理由なん？」
「俺にはもう良く分かりません」
「だって出会ってなかったら好きにもなってないじゃん」
「それはそうだけど…そういうことじゃなくて…」
「好きになったきっかけやなくて、Aのここが好きとか、そっちの方を聞いてんねん」
「………あ"ーもう難しい！そんな細かく考えなくてよくない！？」
「…え、細かい？」
「さぁ」
「俺はAが好き。好きだから好きなんです。それ以外何も無い」
「いや余計ややこしい」
「お前の言ってることの方が難しいよ」
Aの好きなとこ？
そんなの全部に決まってる。
だって好きな人なんだもん。
好きな人に嫌いなとこなんてなくない？そうでしょ？
Aが好きだから、Aの全部が好き。
…まぁでも、正直言うと
Aを好きになった今だから、全部好きだって言えるんだけどさ。
Aの全部が好きだから、Aが好き。とは違う。
その理由として…俺は別に、Aの顔やスタイル、声、性格その他諸々がどストライクな好みって訳じゃない。
何ならもう少し綺麗めな顔で、もう少し身長が高くて、足は長くてもスラッと直線的な足の形で、明るくてよく笑うけど根はクールな性格の方がタイプだ。
…だけど、そんなのもうどうでもいい。
だって俺が好きになったのはAだから。
「Aと出会ったから、俺は"俺"になったの」
"今の俺"があるのは全部、Aに出会えたことが理由。
じゃあ、Aに出会ったのは何で？
そりゃもう、言うまでもなく運命でしょ。
平凡な生活から、アイドル。
俺の人生180度変えておきながら運命じゃないなんて納得できないし、
人生で初めて好きになった人を何年も一途に追い続けてんのに、その人が運命の人じゃなかったら悲しすぎて泣く。
…まぁ、俺がAを追ってんのはAが運命の人だからじゃなくて、Aが好きだからだし
運命の人でなかったとしても、俺はAがいい。
結ばれる人が必ずしも運命の人ってわけじゃないのかもしれない。
でも、もしそうなんだとしたら
俺は、どんな手を使ってでも無理矢理Aを運命の人にする。
神様も気の毒だよね。
もし一人一人に運命の人を作ってるのなら
それ、俺には無駄だから。
…ま、これはAが俺の運命の人じゃなかったらの話だけど。
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