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「あ〜〜〜〜〜…」
「まだ落ち込んでるの？」
呆れたような、でも何処か照れも垣間見える控えめな笑顔を見せながら俺の隣に座ったA。超可愛い。
開けた廊下から場所を移動し、いつかと同じ自販機の前のソファに並んで背を預けるのは、不思議と懐かしく感じなかった。
そのくらい会ってた……いや、会いに行ってたからなぁ。
ただでさえ忙しい者同士、暇が会う時の方が少ない。
少しでも時間が空けば俺が無理矢理会いに行って他愛もない話をしていた。
……のに、何で今日は時間が無かったんだ。
超大事なスケジュールではあったけども、俺の人生大部分占めてんのもAで……あぁぁ、ほんとに、ぁぁ…。
「へチャニ〜そんなに私の誕生日祝いたかったんでちゅね〜」
「すっげえ祝いたかった」
「っ、お、」
「…自分で仕掛けときながら戸惑うの好きだよね」
「ぐっ…好きじゃないし！ヘチャンのせいだし！」
「俺は全部正直に言ってるだけなんだけど」と言えば、うぐっ…と変な声を漏らすA。
可愛いなぁ。
"俺に"引っ掻き回されてるAは、とても。
「……わ、私だってヘチャンのおめでとう待ってたし」
「…！」
「会えるかな〜って思ってたのに、会った途端心臓に悪いことばっか言う…」
「(……どっちが)」
俺はこう見えて割と勇気出してAを揶揄ってるのに、Aは簡単に俺の心を引っ掻き回す。
嘘を言わないお前の言葉は全部本心で、俺と違って無自覚だから
一番嬉しくて、一番タチが悪い。
変だよね、俺達。
やり方は違えども、お互いにお互いの心を転がし合って笑ってる。
転がされていることを自覚しながら。
「…いつもそうなのかねぇ……」
「ううん。ヘチャンだけ」
「は、」
声、出てた、どうしよう、
…じゃなくて
今、何だって？
「あーでも、ヘチャンとは割とずっと一緒にいるから…
やっぱり、いつもだ」
______可愛い。本当に可愛い。
ほんとに
「(すき、)」
込み上げてくる想いが口から溢れないように、ぎゅっと喉を閉めて唇を結ぶ。
やべ、息出来ねえ。
息したら、吐いた空気に乗って、気持ち悪いくらい重たい愛、全部出る。
…苦しい。
息が出来なくて苦しいのか
彼女に何も伝えることが出来なくて苦しいのか
多分、どっちも。
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