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「A！」
「はい、！………あれ、ヘチャン？やっほ〜」
事務所の廊下を駆けて、漸く見つけた俺の尋ね人。
その華奢な背中に向かってそいつの名前を呼べば、仕事モードの表情を一瞬で緩め嬉しそうに手を振った。
可愛い。俺だって気付いてその顔するの狡い。超可愛い。このまま飛びつこうかな。いやダメだ落ち着け。今はそれじゃない。
「いま…っ今何時！」
「えっ？…と、0時…3分！」
「…っ、はぁ〜〜〜」
ああ、クソ。日付変わった。
あと3分、何でもっと速く走んなかったんだよ。あの時近道しなければ…いや、少しでもエレベーターを待った時間が無駄だった。ワンチャン、とか思った俺が馬鹿だった。直ぐに階段行っとけば……
3分前にはまだ、Aの誕生日だったのに。
「っ…あ"ーマジ、疲れた、俺の馬鹿、足遅」
「だ、大丈夫…？ほらこれ、水飲んで。さっき買ったばっかだからあげる」
「悪い…」
「いーえいーえ」
有難く水を貰って、乾いた喉を潤した。
蹲った俺の背中を擦りながら「ヘチャンが足遅なら私止まってるんだけど」なんて俺顔負けの太陽のように笑うAを見れば、息切れも疲れも全部吹っ飛んだ。
いやいや、A瞬足じゃん。アユクデ大活躍だったじゃん。
男からすればそうでもないのかもしれないし、俺よりは遅いだろうけど…
でもお前は……何でだろうね
俺の後ろにはいない。
今も、昔も、ずっと前を走ってる。
こんなに近くにいるのに、追いつけたことなんて一度も無い。
「そんなに走ってよく怒られなかったね…」
「怒られたよ。でも無視したから多分もっと怒られる」
「無視したの！？は、早く隠れなきゃ」
「いいんだよ。お前を探す方が大事だったから。後でいくらでも怒られるよ」
だって誕生日だよ？Aが、生まれた日。
チキってた頃は勿論、仲良くなった去年でさえ忙しくて祝えなかったから
来年こそは、って去年のAの誕生日に仕事をしながら既に思ってた。
それなのに今年もスケジュールはそう簡単に空かなくて。
何よりマクヒョンがドリムでいられる最後の年だから、周りも俺自身も張り切っていた。
今日…いや、もう昨日か。
それこそ7DREAM最後のコンサートの予定も組まれて一日中忙しくて。
終わってすぐAの場所を聞いて、車乗って、走ってきた。
「Aに会いたかったから」
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