[完結]それでもあなたが、【urt】 (ページ5)

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「おい。……おいって」

「う、ぇ…あぁ浦田…」

「昼。行くぞ」

「ちょ、待って待って！！」

トントン、と肩を叩かれると同時に話しかけられる。

その正体は浦田だった。

いつの間にか時計は12:00をまわっていて、昼休憩の時間だからかオフィスに人はあまりいない。

財布を持った浦田は早く、と言うように顎をクイクイと動かす。

そんな浦田に少しだけ待ってもらい、ずっと作っていた資料を保存した。

「よし、お待たせ」

「ん。何食う？」

「えーー…あ、パスタ食べたい」

オフィスを出て、エレベーターに着くまでに何を食べるかの議論が始まる。

「いや唐揚げがいい」

「あれ、私が奢るんだけどな？」

「俺は唐揚げが食いたいの」

「私はパスタが食べたい」

この議論…いや、論争はエレベーターに乗ってからも続いた。

でも特別大きな声で話す訳ではなくて、エレベーターの端っこで、小さな声でするくらい。

エレベーターに人が乗る度に、浦田との距離が近づいて。

不意に触れる肩が愛おしい。

私より少し低い位置にある頭に、ポケットに突っ込まれた手、欠伸をした時に少しだけ出る涙。

全部が…。

…って、浦田のこと考えすぎ。

自分にそう言い聞かせながらも、伸びた手は止まらない。

ぽす、と浦田の頭を撫でると、目つきの悪い目をさらに悪くして睨んできた。

「背高いマウントすんな」

「ふふ、可愛いねぇ浦田くんは」

「マジで殺す」

「ひゃー、怖い」

ドスッと肘でどつかれる。

浦田は身長いじりをされるのが嫌いだが、私にいじられた時は満更でもなさそうな顔をしている……気が、する…だけ…。

ポーン

エレベーターが1階で止まる。

中に乗っていた人が勢いよく外へと出た。

誰もエレベーターの中に居なくなったところで、浦田と私は外へ。

社員証を機械にかざし、職場を出た。