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「じ、ん…。」
行為も終え、息切れしながらも彼の名前を呼ぶ。
上半身だけを起こしているジンは、無言で私の方を見た。
なんだ?とでも言うように。
「大好き。」
その長くて綺麗な白銀色の髪も、つり上がった目も、横一文字に結ばれた口も、長い首も、割れた腹筋も、拳銃を使ってアザだらけの手も。
全部、全部、全部全部。
そんなことを考えていると、何だか涙が出てきた。
「なんで、だろ…。」
愛しているし、愛されているのも分かってる。
なのに、なんで。
怖くて怖くて仕方がなくなってくる。
嫌な予感が全身を襲う。
「落ち着け。」
タバコを灰皿へ捨て、煙がまだ残ったままの口を私の口に引っつける。
苦い…。
だけどそれが心地いい。
留まることを知らない涙が、ジンの手までも濡らしてゆく。
「っふ……ぁ…。」
「舌出せ。」
「ぅん…。」
さっきまで行為をしていて疲れているはずなのに、そんなことが気にならない程に、ジンにしがみつく。
甘くてとろけて、苦い。
あまり見せない私の涙にジンは焦っているのか、少し強引だ。
今は強引でもなんでもいい。
ジンにしがみつきながら、私が上になるように座る。
「…!」
驚く顔が珍しくて、思わず笑ってしまう。
へにゃり、と頬を緩ませると、頬をぶにゅっと掴まれる。
「いひゃい…。」
「生意気な。」
「うるしゃ…ひゃ…!」
少しでも口答えしようものなら、弱い所を責められて力が抜けてしまう。
ジンにもたれ掛かるような体制になると、ドクドクと少しテンポの早いジンの心臓の音が聞こえてきた。
何だかそれが嬉しくなって、分厚い胸板にちゅっと唇を落とす。
ジンはそれがスイッチになったらしく、先程よりも激しく抱かれた。
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作者名:セツ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年4月24日 14時