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「…似合っていますよ。」
「……ありがとう。」
パーティー会場へと来た私とバーボン。
結局私の身に付けるドレスの色は黒と赤の2色が入った物となった。
ベースは黒で所々にあしらわれているリボンは赤色。
どうしてこの考えが思い浮かばなかったんだろう…。
数時間前の自分の思考能力の弱さに落胆する。
「…ローズ?」
「あ…ごめん。」
バーボンに呼ばれ、差し出された手をとる。
そして腕を絡めた。
カツ、と会場へ入ると中にいた大勢の人からの視線が私たちに集まった。
「…みんな、ローズに見とれていますよ。」
「バーボンこそ。」
クスリ、と笑いながらそう告げる。
髪をオールバックにし、黒のスーツを着ている彼。
悔しいけど様になっている。
甘い香水の香りを放つバーボンと歩いていると、"あ!"という聞き覚えのある可愛らしい声が聞こえてきた。
「安室さん!…と、優奈さん…!?」
振り返ると、そこに居たのは後輩である毛利蘭さん。
私たち2人の姿を見た蘭さんは、目を見開いている。
「お2人って…もしかして…。」
口を抑えて頬を赤らめる蘭さん。
嗚呼、そう言えばバーボンが迎えに来ていた所をこの子は見ていたっけ。
私たちが付き合っていると勘違いしているのか、今にも騒ぎだしそうだ。
私は"はぁ"と溜息をつき口を開く。
「違うわ。彼…安室さんは、私の小さな頃からの知り合いなの。たまたまこのパーティーに参加するって聞いて。…ね?」
「えぇ。探偵としてここへ来たのですが、お相手がいないのも寂しいので。」
「あ、そうだったんですね…。」
どこか残念そうな顔をした蘭さん。
そこまで私たちに付き合っていて欲しかったの…?
…ま、私にはジンがいるけど…。
「らー…ん…あれ、優奈さんに安室さん!」
「園子さん。」
「ふふ、学校ぶりね。」
後ろから駆けてきた茶髪の彼女は、鈴木園子さん。
何でも鈴木財閥のお嬢様らしい。
…なるほど、このパーティーに蘭さん達が参加しているのは鈴木財閥のおかげか。
辺りを見渡すと、小さな男の子と目が合った。
…噂の江戸川コナンくん、だろうか。
にこり、と微笑むとワンテンポ遅く微笑まれる。
……敵。
一瞬で、そう感じた。
私を見る目が他とは違う。
憧れでも、興味でもない。
"恨み"のように感じた。
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作者名:セツ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年4月24日 14時