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「…ってとこかしら。」



『っ…。』



「また泣いてる。快斗…もう大丈夫よ。」



私の過去の話をし終わった時、快斗は私よりも涙を流していた。



『あんな辛い事っ…思い出させて…。』



「大丈夫!」



力強くそう言うと、潤ませた目をこちらに向けた快斗が静かに近付いてくる。



「…?」



ぎゅ。



そんな効果音が合うような行動。



そう、快斗が抱き着いてきたのだ。



「ちょっ、何してっ…!」



『このまま。』



「か、いと…。」



顔を見せようとしない快斗の背中に、腕を回す。



ありがとう。



私なんかのために泣いてくれて、ありがとう。



…大好き。







「落ち着いた?」



『悪ぃ。取り乱しちまって。』



数分後。



互いの背中に回っていた手は自然と離される。



快斗の顔を見ると、まだ目じりが赤かった。



いや、目じりというよりかは…頬も?



『っ……。』



「ねぇ、快斗。貴方もしかして…。」



彼の額に自分の手を当てる。



熱い。



「熱あるの?」



『っ、バーロー。あるわけねぇだろ…。』



嘘だ。



息が荒いし、顔も赤い。



何より額がこんなに暑いんだから。



「無理しないでっ…。お願い。」



『A…。』



ソファーから立ち上がり、体温計を取りに行く。



ソファーで今にも倒れそうな快斗を急いで支え、体温計を渡すとすんなりと受け取ってくれた。



『……。』



「……。」



2人の間に沈黙が訪れる。



するとそこに、ピピピッという無機質な音が響いた。



何故か隠そうとする快斗から体温計を奪い取り、体温を見る。



「38.5…!?どうしてこんなになるまで隠してたのよ。」



『キッドの仕事があっただろ…っ…。』



「そんな前から…。まさか、貴方私の熱が移ったの…?」



私が風邪を引いた時、快斗が看病をしてくれていた。



「とにかくベッド行きましょう…。」



『あ、あぁ…。』



肩に手を回し、快斗の部屋まで連れていく。



私から離れた快斗は、ベッドにドサッと倒れ込む。



…さて、どうしよう。



この時間だとスーパーは開いていない可能性の方が高い。



仕方ない。



余り物で許してもらおう。

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ピコピコハンマー - 「気をつけて」は「を」です!とっても面白い作品です!これからも頑張ってください!! (2021年6月19日 9時) (レス) id: a1310badd0 (このIDを非表示/違反報告)
魔理華 - 楽しみに待ってます! (2019年7月15日 20時) (レス) id: 28703d16e4 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 魔理華さん» ありがとうございます!頑張りますっ! (2019年7月13日 0時) (レス) id: 387ee06ba6 (このIDを非表示/違反報告)
魔理華 - 面白かったです!続きが気になります!更新頑張ってください応援してます (2019年7月12日 7時) (レス) id: 28703d16e4 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 黎夢さん» ご指摘ありがとうございます!当方あまり弓道に詳しくなく、調べた限りの事で更新しておりました…。良ければ、改善点を教えていただけないでしょうか? (2019年7月8日 10時) (レス) id: 387ee06ba6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セツ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年5月25日 11時

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