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医師『全治2ヵ月です。齋藤さんの場合、精神もやられているので病院で過ごしましょう。』



「…はい。」



数時間後、やっとの事で診察が終わった。



少し落ち着き、看護師があっさりとしていたのは仕事だから、という結論も心の中で出た。



考えればわかることなのに、それほど頭は混乱していたのだと思う。



「…あの、母さんと父さんは?」



医師『…警察の方が来ていますので。どうぞ。』



上手くかわされ、警察との話にまた数十分。



担当の刑事さんは佐藤刑事、という人らしい。



女の人だったし、まだ話しやすい。



時々高木刑事と呼ばれる人と目暮警部と呼ばれる人から、佐藤刑事に電話が来ていた。



佐藤『辛いことを話してくれてありがとう。両親のところに行きましょうか。』



「っ…!はいっ!」



車椅子を押され、着いた場所は病室じゃないなんだか特別そうな部屋。



佐藤『目暮警部。佐藤です。』



目暮『入っておくれ。』



中に入ると、部屋は真っ白だった。



そして中には、白い布が体と顔にかけられた人が2人。



「っえ…。」



本当は、薄々勘づいていた。



母さんはこのつもりで私にロケットペンダントを渡したんだ。



目暮警部と思われる人と、男の刑事さん…多分、高木刑事と思われる人が2人の顔の布を取った。



目暮『齋藤啓介さんと、恵さんで間違いないですかな?』



佐藤刑事に車椅子を押してもらい、2人の顔を見る。



「ま、ちがい…ありません……。」



佐藤『…私達は退室するわ。』



ガチャッというドアの音ともに3つの足音が部屋から消える。



振り返るが、やはり誰もいなかった。



「っ……。」



骨にヒビ?



そんなの関係ない。



ガタッと立ち上がり、2人の顔を撫でる。



「母さん…父さん…。」



2人とも、安らかに眠っていて。



本当はすぐ目を覚ましてくれるんじゃないか、なんて。



「っ…う…あぁっ……。」



でもそんなこと絶対なくて。



「かあっ…さん…。と、うさんっ…!」



私を置いていかないで。



「い、やだよぉっ……いかないで…っ…!」



まだ私高校生だよ?



「っ……わ、たしは…1人なの……?」



1人が寂しいのは、もう充分知ってる。



「永遠にっ…1人なんてやだよ……。」



また、1人にするの?



「ふ、あぁっ…。っ……うぅ…。」







何時間か分からない。



私はその部屋でずっと泣いていた。



その日は憎いくらいに星が綺麗な日だった。

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ピコピコハンマー - 「気をつけて」は「を」です!とっても面白い作品です!これからも頑張ってください!! (2021年6月19日 9時) (レス) id: a1310badd0 (このIDを非表示/違反報告)
魔理華 - 楽しみに待ってます! (2019年7月15日 20時) (レス) id: 28703d16e4 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 魔理華さん» ありがとうございます!頑張りますっ! (2019年7月13日 0時) (レス) id: 387ee06ba6 (このIDを非表示/違反報告)
魔理華 - 面白かったです!続きが気になります!更新頑張ってください応援してます (2019年7月12日 7時) (レス) id: 28703d16e4 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 黎夢さん» ご指摘ありがとうございます!当方あまり弓道に詳しくなく、調べた限りの事で更新しておりました…。良ければ、改善点を教えていただけないでしょうか? (2019年7月8日 10時) (レス) id: 387ee06ba6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セツ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年5月25日 11時

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