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「……」



「……」



黙って、素っ裸のまま向き合う私たち。



外はもう明るく、普通の会社員や学生たちはもう動きだしている時間帯だ。



正座をした悟は今にも土下座しそうだし、私は私で恥ずかしくて地中に潜ってしまいそう。



そりゃ、酒の力も借りずあんなことやこんなことしたらこうもなるだろう。



「…悟」



「……うん」



「…ごめん」



「僕の方こそ」



会話は、それだけ。



直ぐに二人とも服を着て、高専へ向かう準備を始める。



いつものように真っ黒な服に、高い位置で括り上げた長い髪。



悟と肩を並べて歯磨きをして、私は軽く化粧をした。



彼の方はいつもの目隠しでピン、と髪を立てている。



朝ごはん代わりのゼリーを口に放り込めば、ごっくんと飲み込む。



玄関まで来たところで、ピタリと足が止まった。



「A」



「ん?」



「…僕は好きだよ」



「…!…そう」



「じゃあ行くよー」



悟に手を引かれて、マンションの廊下を歩く。



エレベーターを待っている間はずっと沈黙が訪れていた。



好きだよ、か。



隣に立つ悟は数秒前の告白なんてなかったかのようにスマホを見ている。



こいつは信じられないくらい能天気で、でも信じられないくらい強くて。



だからこそこの界隈で死ぬ確率が高い。



2人とも特級術師とはいえ、悟は桁違いなんだ。



そんな彼と、私が?



…私は、彼がもしもの時に耐えられるのかが分からない。



特別な関係になって、今より更に情が生まれて。



はは、弱いな…なんて笑ってみせる。



ポーンと無機質な音が鳴ると共に目の前でエレベーターの扉が開く。



2人でそれに乗り込み、1階に着くまで待った。



「悟」



「なに?」



「私も好きよ。…でも、普通のように恋人にはなれない」



「うん、知ってる」



「…ごめん」



お互いに、わかってる。



呪術師は一般人とは違う。



マンションを出て、目の前を通るカップルを見つめながらそんなことを思った。



もしも私と悟が一般人だったら。



…普通に、付き合えてたのかな。



そんな、ありえない事を考えながら高専に出勤した。

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設定タグ:呪術廻戦 , 名探偵コナン , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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あさみ - 続き気になり過ぎます!楽しみに待ってます!、 (2022年5月25日 0時) (レス) @page9 id: b2fcc691e1 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐(プロフ) - あの、3ページのvol.2廃ビルと肝試しの話なんですが、任務内容が路地路地裏になってしまっています。誤字でしょうか…? (2022年4月16日 10時) (レス) @page3 id: 9f47d6b5fe (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます! (2022年4月15日 23時) (レス) @page2 id: 98cd497361 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セツ | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年4月15日 0時

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