暗殺人形 (ページ8)

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暗殺6 ページ8

私はLDHを後にし、ハーデスに用意されたホテルの部屋に戻り先程渡された書類に目を通した。
私が明日から護衛するグループ三代目JSoulBrothers
最近人気が出ているグループらしい。
その人気の比例に合わせて、プライベートにまで押し寄せるファンがいたものだから今回護衛を依頼したらしい。

ホント、こっちからしてみればいい迷惑。
彼らになんて一ミリも興味なんてない。
私は命令された仕事を済ますためにこの事務所に潜入しただけ。
護衛なんてのは表向きの口実。

書類に全て目を通した私は次にハーデスから渡された書類に目を通し、ここに来る前の彼との会話を思い出した。

～回想～
「で、そのUSBを持ち逃げしたネズミっていうのは？」

ハ「この男だ。」
その男の写真を差し出した。

「こんな男、組織にいたんだ。今どこにいるの？」

ハ「それをするのがお前の仕事だろ。事務所に行けばいるんだから隈なく探せ。」

「ホント、相変わらず人使いが荒いのね。貴方って。」

ハ「それと二つ忠告がある。」

「何。早く言ってちょうだい。」

ハ「潜入時についてだが、アテナとは絶対に名乗るな。ネズミが感づいて逃げられてもしてみろ。元も子もないからな。何でもいいから適当に名乗っとけ。」

「はいはい。分かったわ。で、もう一つは？」

ハ「アノ人からの情報だが、お前が護衛するグループに、どうやら勘の鋭い奴が一人いるって話だ。少しでも素性を明かしてみろ、その男が俺達のことを探る可能性だってある。気を付けるんだな。」

「……私がそう簡単にヘマするとでも？」

ハ「万が一の時に言ったまでだ。まぁ、お前がヘマするところは一度見てみたいもんだがな。」

「………」

「勘が鋭い男…。」
私はそう呟き、再びメンバーリストの書類に目を向けた。
そこで私はある男に目が止まった。

「登坂広臣…。」
写真を見ただけでピンときた。
まるで全てを見透かしているような瞳。
そう

私と同じ瞳をしていた。

「…この男には、注意が必要ね。」
静かに私の声が響いた――…。