暗殺人形 (ページ38)

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暗殺35 ページ38

険悪なムードになっていた場所に私が探し求めていた紙とペンが一人の男から差し出された。

「貴方…。」
随分と用意が出来ている人間なのね。
この二人とは大違い。

臣「涼太！お前何でここにいるんだよ？」

岩「他の皆は？」

涼「先に下に行って待ってるようにお願いしておきましたよ。ここにいるのは…ごめんなさい、会話が聞こえちゃって…。ユナさん困ってたみたいだし。」

臣「悪いな何か…。お前まで巻き込んで。」

涼「とんでもない！ちょうど俺もメモ帳持ってたし、もしよければなって思って。」

臣「ほら。場所と時間だ。」
いつの間に書いたのか私にぶっきらぼうに場所と時間が書かれた紙を渡してきた。

臣「お前のお望み通りにしてやったんだからな。涼太に礼くらい言えよ。」
自分が持ってきたわけでもないのに何でこんな偉そうなのよ。
でも、紙を持っていた男には感謝しないとね。

「…ありがとう。助かったわ。」

涼「礼を言われるようなこと俺はしてませんよ。好きで自分がやったことですから(笑)改めまして、片寄涼太です。GENERATIONSって言うグループのボーカルやってます。もし関わる機会がありましたらその時はよろしくお願いしますね(笑)…隼が気に入っちゃったみたいだし。」

「ハヤト？」
誰それ？

涼「メンバーの一人です。今度是非紹介させて下さい。」

岩「…そんなことより隼も気に入っちゃったの！？ダメダメ俺のユナさんだから！」
いつ貴方の所有物になったのよ。

「もう要件は済んだし私は失礼するわ。貴方達も下で迎えが待ってるんじゃないの？」

岩「あ、本当だ！臣さん早く行きましょう！隆二さんがお腹空かせて今頃待ってますよ。」

臣「もうそんな時間か。絶対今頃腹空いたしか言ってなさそうだしな(笑)」
相変わらず独特な笑い方をする。

涼「じゃあ、俺もこのへんで。また後で会いましょうね。」
お互いに背中を向け歩き始めた時だった。

臣「おい。」
振り向かずに足を止めたので、私も振り向かず足を止めた。

「何。まだ私に何か用？」

臣「…絶対来いよ。言いたかったのはそれだけだ。止めて悪かったな。」
背中越しで言い去っていった。

「…何度も言わなくても分かってるわ。」
仕事は確実にこなす、それが私のポリシーなんだから。
誰もいない廊下に私の声だけが響いた――…。