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『にがい』
けほけほ咳き込む。
肺の中に入るひんやり冷たい空気がなぜだかかなりひさしぶりにも思えた。つい数分前よりさらに頭がふわふわする。
『さっき。薬飲んだ時。吐いちゃったんだよ、わたし』
「ああそう」
ちょっとした仕返しのつもりでそんなことを言ってみたけれど、彼はどうともないみたいで。すこし悔しい。
『近いよ、こみねさん。もう終わり』
「……Aちゃんは注文が多いなァ〜」
そうきっぱり言い切れば、彼は満足気に小さく笑って。また距離が空いた。
「もうやめてね、クスリ」
雨音はもう聞こえない。
「迷惑。めんどくさい。普通に心配する」
空はもう赤くなんてない。
『ふふ、ほんとに?』
ゆるやかな死の、波も引いてゆく。
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なな(プロフ) - 「あくる日の」のお話めちゃくちゃ好みです...!悪いれだーさんまた読みたいです (3月27日 20時) (レス) @page5 id: 412825c0ad (このIDを非表示/違反報告)
ちーかのすけ(プロフ) - マジで好きです!(*´ω`*)今回もめっちゃ良かったっす😇✨💕 (2月13日 8時) (レス) @page11 id: 927919367a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなり | 作成日時:2024年2月10日 19時