【stgr】サイケデリック・オーバーライト

境／nk mng ページ1

『まんごーせんぱいって女の人ですか？』


じっとりした初夏の気温が脳を直接焼くようで、どうにも静かに立っていられず不意にそう尋ねた。



「え、わからん。けどマンゴーが女ならおれマジでヤバいんだけど」

『同性でもあの距離感はどうかと思いますけどね』

皮肉を込めてわざと冷たくそう言えば、青井先輩はバツが悪そうに乾いた笑いを零した。



「本人に直接聞けばいいんじゃね」

『じゃあカニ先輩が聞いてきてよお……』


きけるわけがない、そんなこと。

それに、聞けるもんならもうとっくに訊いている。
生憎私はそれっぽっちの勇気も持ち合わせていない。



「ま、あいつが女でも男でも変わんないしな。なんでもいいわ俺は」

「そーそー。そんな気になるかあ？」

『気になるって言うか、ただ知りたいだけ、…みたいな？』


ぶわり、肌にへばりつくような生ぬるい風。
夏ってこんなに暑かったっけ。私だけがまだ、梅雨に取り残されているような。




「やっぱ好きなんじゃん」


『いや、だから！ほんとうにそんなことないですって！
今までもこれからも、ただの尊敬する先輩です』

「へーえ？」

『絶対信じてない』

息が詰まるほどの熱気についに思考も放棄した。
次の大型は客船がいいなあ。

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