守りたい人がいる。 (ページ12)

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10話ページ12

Aside

カウンセリングといっても私は、何も資格を持ってない。

彼女と話して、心の拠り所になること。その日の体調を

確認すること。そして、出来ればマインドコントロールで

彼女を支配すること。それがオーバーホールからの命令だ

私は、今までにも何度かマインドコントロールをしたこと

がある。義爛と一緒にや、独学で勉強して身につけた。

実際にも何度かしたことがある。でもそれは悪人にだけ。

こんな何もしてない、小さな女の子にかけるなんて。

オーバーホールに言われて、そんな罪悪感を抱き、罪悪感

を抱いた自分にまだこんな感情残っていたんだなと驚いた

のは、記憶に新しい。

壊理ちゃんに声をかけてから少しして部屋から返事が来た

「、、、、、ドールさん？はいっていいよ。」

『ありがとう。壊理ちゃん。』

『今日も私とお話ししようか。』

『今日は、どこかしんどいところとかない？痛いところ

とか、大丈夫かな？』

「、、大丈夫です。あ、ありがとうございます。」

怯えた声で言った彼女は、手を押さえていた。きっと

痛いのだろう。包帯越しに血が滲んでいるのが見える。

この年でこんなに我慢をしてしまうなんてどういう環境で

育ってきたのだろうか。

『壊理ちゃん、包帯、血が滲んでるね。変えておこうか。

手出してくれるかな？』

できる限り優しく言って彼女に手を伸ばすと

バチっ

「やめて、、私に触らないで。」

怯えた目でこちらを見る少女。

『大丈夫だよ。壊理ちゃん、怖くない。』

『だから、手出してくれないかな？』

目にいっぱい涙を溜めた彼女は、私の目を見つめた後、

恐る恐る私の方に手を伸ばしてくれた。

『ありがとう。良い子だね。偉いよ。』

彼女が私の指示に従ったことに思わず笑みが溢れそうに

なる。マインドコントロールの第一歩だ。

今の彼女の拠り所がなく、周りが敵ばかりの状況、

自分が外部に助けを求めれば、外部にもし被害が及ぶ、

それを賢い彼女は、理解しているのだろう。

マインドコントロールをするのにこんなにも適した状況は

ない。マインドコントロールでなくとも、少し優しくすれ

ば、こちらに落ちてくれるだろう。

『ふふ、』

思ったよりも簡単な仕事になりそうだ。

心の奥にあるわだかまりに気づかないふりをして、

その日のカウンセリングを終えた。