蒼眼病(inar)

経過、九ヶ月目。 ページ32

有岡side


伊｢さて、いい子でお留守番出来たみたいだし、ご褒美何が良い？｣




いい子でお留守番出来てたって、誰から聞いたんだろう。


代役の先生かな。ただ遊んでただけなんだけど…。







有｢俺、賭けに勝ってないよ。…伊野ちゃんの勝ち｣


伊｢え？でも先生、大ちゃんいい子でしたーって、｣


有｢先生の前では、だもん。てか先生とはゲームして遊んでただけだし…｣






…でも、あの先生も小児科の先生だからな…。


小さい子供基準で言ってるなら、


間違いなく、俺も“いい子”だよなぁ…。笑








伊｢ゲームって…アプリとかの？｣


有｢うん。…あっ、あの先生は怒らないでね？俺がやりたいって言っただけだから｣


伊｢…ふーん。｣


有｢…？｣








何だろう、急に不機嫌？







有｢ゲームだけじゃないし…。俺、いい子でお留守番してろって言われたのに、何回も伊野ちゃんに連絡しそうになったし…｣


伊｢…へ｣


有｢会いたいとか、寂しいとか、早く帰って来てとか…。伊野ちゃん頑張ってたのに｣


伊｢す、すれば良かったじゃん…。そのくらいの時間はあるよ？｣


有｢そうしたらいよいよ“いい子”でなくなるじゃん…。まあ賭けに負けても別に良いんだけど、なんか…その、子供みたいで恥ずかしいじゃん…｣







それもあるけど。


そんなこと言ったらさ、伊野ちゃんのこと好きって言ってるようなものじゃん。


俺の考えすぎ？でも、返ってくる返事も怖かったから…。








伊｢待ってごめん、俺の言い方が悪かった。訂正する｣


有｢ん？うん…｣


伊｢俺の中で“いい子”っていうのは、“病気をしないで”っていう意味で…｣


有｢…は、｣


伊｢病気しなかったでしょ？だから大ちゃん、｣


有｢ちょ、ちょっと待って！｣







え、え、なん…どういう事？


伊野ちゃんに連絡しても、良かったって事？







いや問題はそこじゃなくて、俺、…


“寂しい”だの“会いたい”だの思ってるって、


本人の前で言っちゃった…！？








ど、どうしよう…！？

、→←、

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す