君だけ inar

、 ページ33

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俺はしばらく伊野ちゃんの腕の中で泣いていた。

自分的には涙なんて

すぐにでも止めようと思ってたのに。









でも…伊野ちゃんが

俺が声を漏らして泣くたびに



「辛かったよね」「怖かったよね」

「もう大丈夫だよ」って





頭を撫でながら言ってくれるから。
















蛇口を捻ったみたいに涙が出てきて止まらなかった。

きっと、今まで我慢してきた分

伊野ちゃんの前だと、つい溢れ出てしまう。




伊野ちゃんがいてくれて良かったって

心から思うたびに



いじめられていたことの辛さよりも

その温かさに泣いてしまう。















伊「さー、あいつらどうなるかな」

有「さぁね…反省文とかじゃない？」

伊「え、それだけ！？いくらなんでもそれはないでしょ」

有「じゃあ停学とか？」

伊「うーーん…」











ようやく俺の涙も止まって

今日これからどうしようかと2人で考えてたら

伊野ちゃんが「俺の家来る？」なんて軽く言った。





「学校戻らないの？」って聞いたら

「今学校はきっと魔界だよ」なんて

伊野ちゃんらしくない変なことを言うからおかしくて。




魔界なら仕方ない。

お言葉に甘えて伊野ちゃんちにお邪魔させてもらおう。

















有「そういえば伊野ちゃん、あんな録音いつしたの？てかよくあのタイミングで録音できたね？」

伊「あー、しばらくあいつらつけてたからね」

有「え！？」

伊「確実な証拠が欲しくて。もー警察の気分」

有「…どっちかって言うとストーカーなんだけど」

伊「ちょっ、やめてよあいつらのストーカーとか！好きみたいじゃん！」

有「あははっ！」
















…いつぶりかな、こういうの。

心の底から笑う感じ。

















これから先どうなるのかは

まだよく分からないけど



















でも、きっと。

伊野ちゃんがいるなら、なんだって

















乗り越えられるよね。

俺ももう、

下を向いてばっかりじゃいられないから。

ありがとう。→←幕

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