君だけ inar

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期末テスト一日目の朝。

少しでも早く大ちゃんの顔を見たくて

帰りまで待ってられなくて

大ちゃんの家まで迎えに行った。











「おはよう」

「一緒に学校行こう」って

たったそれだけ言えば良い話なのに

何故かひどく緊張した。
















まるで初めて顔を合わせるみたいに。



















『あら、慧くん？おはよう』

伊「おはようございます。あの、大ちゃんて…」

『ああ、ごめんねぇ。今日はもう早くに学校行っちゃったのよ』

伊「…え、」

『苦手な早起きまでして…テストだからかしら』















首を傾げる大ちゃんのお母さん。

理由は分かっていないみたいだった。










俺だって分からない。


















伊「…すいません、俺も学校行きます。朝からありがとうございました！」

『気をつけてね、いってらっしゃい』

伊「…いってきます」















大ちゃんの優しい性格はきっと

お母さんに似たんだろう。

綺麗で、優しいひと。



















大ちゃん。



















…言うわけない、よね。

いじめられてること、家族に。










分かるよ、心配かけたくないし

悲しませたくないもんね。



















でも大ちゃん、お願い。

俺が手を伸ばした先に

ちゃんと

手の届くところにいてよ。












一人で離れて行かないでよ…っ。

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