君だけ inar

、 ページ15

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伊「俺だけだよね」

有「え…？」

伊「知ってるの」













…何を…？

知ってるって、いじめのこと？

「俺だけ」って、でも

絶対違うこと言ってるよね…？
















有「ごめん、何の話？」

伊「大ちゃんは良い人だって話！」

有「良い人…？」

伊「バカだよな皆、目ん玉付いてんのかな？」

有「ちょ、伊野ちゃん…？」

伊「ぶん殴ってやろーぜ、大ちゃんがカンニングしたとか言いふらしてる奴」
















…あ、やっぱり知ってるんだ。

そりゃそうだよね。









でも2年生までは知らないだろうって

どこかで思ってはいたのに…。



















伊「…誰だよ」

有「え…誰って…？」

伊「大ちゃんにそんな顔させる奴。今すぐ俺がぶっ倒してやる」


















…伊野ちゃんいつも優しくて、

乱暴な言葉なんて使ったことないのに

急にそんなこと言うなんて。


















…俺が言わせたんだよね。

ごめんね、似合わないよ。

可笑しいくらいに。

伊野ちゃんはやっぱり優しい言葉が似合うから。










アイツらが使うような言葉は使わないでいて。

知らなくていいよ。

全部。

知ってほしくなんかなかったのに。











だって知ったら…伊野ちゃん











有「…ふふ」

伊「何笑ってんの…」

有「だって…、あははっ」

伊「なに、…」

有「あーもう…っ、面白くて涙出てきちゃった…あはは、なんでだろ…止まんない…っ」

伊「…大ちゃん」



















知ったら踏み込んでくるでしょ？伊野ちゃん。

俺みたいな目には遭ってほしくないのに。



















でもいくら俺がそう言ったって

伊野ちゃんは俺に触れてくるから。

今みたいに

こうやって抱きしめてくれるみたいに。



















いいよ、伊野ちゃん。

もうちょっと平和なところにいてよ。



















じゃないと


















有「…！」



















アイツらに見られちゃうよって

言いたかったのに。



















ああもう、手遅れ。

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